ラブミッション
斗花
第1話
ギャラスタの卒業ライブの後、流星先輩のお家で打ち上げをやった時。
私は意を決して流星先輩に話しかけた。
「りゅーせー先輩!質問がありますっ!」
「勉強のことなら山本にきけ」
「桐高に受かったので、もう勉強の必要はなくなりましたっ!」
そして私はゆきくんが近くにいないことを確認し、流星先輩にコソッと尋ねる。
「わたし、ゆきくんにお礼をしたいんです」
私の言葉に先輩がコップをテーブルに置いた。
「……お礼?」
「はいっ!
私が桐高行けたのはゆきくんのおかげなんです!
だから、ゆきくんにお礼をしたいんです!」
流星先輩の隣にいた淳士がソーッと席を立つ。
「あつし」
その淳士の服を先輩が引っ張った。
私も淳士とか呼んでるけど、淳士もゆきくんと同じ高校二年生です。
四月からは三年生。
「米倉蘭を見捨てんのか?」
「いや俺はただ、この出来事に一枚噛んで、フクに怒られたくないだけで……」
フクってゆーのはゆきくんのこと。
ゆきくんってゆーのは私の彼氏のこと!
ゆきくんは超!超パーフェクト男子!
頭も良いし、足も速いし、ギターも弾けるし、作曲もできるしっ!
何ができないのってくらい、もう何でもできるっ!
そんなゆきくんを追いかけて私は同じ高校を受け、無事に合格して、来月からはゆきくんと同じ高校に通うっ!
その勉強もゆきくんが教えてくれました!
もう、本当にっ!
かっこよくて、かっこよくて……、そのかっこよさは全米が驚愕するほど!
……たぶん!
「米倉蘭だって、より沢山の意見を参考にしたいだろ?」
「はいっ!」
そう答えた私を見て、ため息をつきながら淳士は座る。
淳士には厳しくって、ゆきくんから教わりました。
流星先輩はゆきくんが入ってるギャラスタっていうバンドのボーカルのゆきくんの先輩。
そのバンドでゆきくんはギターを担当してる。
「普通に物とかあげたら喜ぶんじゃないっすか?」
淳士はお茶を飲みながら超つまらないことを言う。
「お前な……。本当につまらない男だな」
流星先輩が私の気持ちを上手に代弁してくれた。
「いや、そりゃあ先輩はフクに怒られないからそうゆうこと言えますけど……!
あいつ、本当に怒ると怖いんですよ!」
「ゆきくんは怖くないもん!
淳士が変なことするから怖くなるんでしょ!」
私の言葉に黙る淳士。
「そうだぞー、淳士」
「もう、いいや……」
先輩の言葉に淳士は大人しくなった。
「フクを喜ばせたいんだよな?」
流星先輩の言葉に大きく頷いた。
「そしたらな、蘭。高校の制服はもう届いたか?」
その言葉にも大きく頷く。
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