No music No life
止まない音楽と、薄い肉の皮で包まれてかろうじて止められた流動的な、ゼリー状の自己。それがさらに薄い壁の四方で包まれている、まるでマトリョシカだ。
心臓がリズムを刻み、ドラムがその裏拍を叩く。その感覚に吐き気を覚え、それが先ほど一気に喉奥へ流し込んだアルコールによるものであると気づく。
自ら呑んだ小さき毒によって大いなる身体と脳を麻痺させられる、ライオンが蟻に殺されるような滑稽な心持ちになった私はその場にうつ伏せになる。
血管が脈打ち、聴き飽きた音楽が森に響く静寂のように鳴っている。アルコールにより嫌なことを忘れるだけではなく、万物への興味を失った。
だんだんと、瞼が重くなる。それに引き換え、心臓の鼓動は速くなってきた。だんだんと息も苦しくなってくる。しかし、全て分かる。
私の今までの事、地上の成り立ち、私は神の息子であること。万物が理解できたから興味を失ったのか。
明るい、いや、暗い。暗いだろう。ちがう、めがとじている。開けようか、いやいい。
目を開けたら何があるかわかる。宇宙があるのだ。
宇宙はすべてある。だから、問題ない。
問題は。
な
い。
起きると私の体は鉛のように重く、喉がカラカラに渇いていた。自身の身体を見てみたが、毒虫に変身してはいないようだった。諸君もアルコールを飲む際は、一気飲みはせずに、節度を持って飲むことをお勧めする。
あなたを転ばせる空き缶の詩集 猫山鈴助 @nkym5656szsk
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