閣下、お身体は?からの「俺、日本人なんですけど」。
もう出オチ。この設定だけで勝ちは確定しているのに、中身はもっと斜め上にぶっ飛んでいます。
あの冷酷な独裁者が割烹着を着て豚骨ラーメンを煮込み、アニメで世界平和を目指す!?
歴史の教科書が真っ青になるレベルの超展開が、とにかく軽快で小気味いい。
粛清の代わりに飯テロ。重苦しい空気を「アニメと食」でサクッと上書きしていく手際の良さは、まさに歴史改変の醍醐味です。
ウクライナへのガチ土下座に、日ソ融合のハイブリッドうどん。
ギャップが生む笑いの中に、ふと「当たり前の日常を守る」という熱い想いが透けて見えるのが、SF好きの心をくすぐります。
歴史を知らなくても「もしもスターリンが善人だったら」という一点突破の面白さだけで最後までノンストップで読ませてくれますよ。
サクッと読めて、読み終わる頃にはきっとあなたも、この「俺様(仮)」な閣下のファンになっているはずです。
まず、タイトルを二度見。
プロローグの1942年モスクワ会談で、緑茶を飲みながら三色団子を食べるスターリンという衝撃的な場面から始まり、一気に引き込まれました。
チャーチルに「誰かの当たり前を守れる世界を作りたい」と語る姿に、この転生者の信念が凝縮されています。
1929年の病室で目覚めた主人公が「お前らは修学旅行中の小学生か!!」と叫ぶシーンは爆笑しました。
記憶喪失を利用して現代人らしさを出す設定が絶妙です。
そして広場での演説!「民主主義や資本主義よりも社会主義の方がよっぽどタチが悪い!!」と社会主義国家のトップが宣言する痛快さ。無理やり引っ張り出された鬱憤を晴らすように演説台を叩く姿が最高です。おまえがそれ、言うんかい!みたいな
この作品の真骨頂は、歴史改変の緻密さです。ペニシリン研究をフレミングに早期支援し、北里柴三郎まで巻き込んで医療革命を起こす。電子顕微鏡を史実より2年早く完成させ、ウイルス発見につなげる。ル・マン24時間レース用のH型エンジンを開発し、技術力を世界に示す。そしてアニメーション産業や自動車産業を国策として支援し、ソ連を文化・経済大国へと押し上げていく。転生もの特有の知識チートが、ここまで説得力を持って、段階を踏んで実現されていく過程が圧巻です。
私はロシアの近代史に詳しくなかったんですけど、この話があまりに面白いので世界史の教科書引っぱり出しました。
柏餅を食べながら端午の節句を祝ったり、缶コーヒーを普及させたり、日本文化を取り入れる描写も微笑ましい。ウクライナから撤退する決断、アメリカのスパイを泳がせる戦略、世界恐慌への事前対策と、政治的な緊張感も抜群です。続きが待ち遠しいです!