YouTuberの美少女とラッキーキスして炎上した俺が純愛かNTRの二者択一
みうく🍼
第1話 【MOVIE0】成り上がりたいんならバイトは捨てなさい
バキバキに割られた窓ガラス。凸凹に穴の空いたドアの奥。
俺は一人、灯りも点けずに布団の中に引きこもっていた。
【失敗を恐れて何も行動をしない人に、成功なんてあるわけないじゃない。】
いつか、間切こももが言ったこの言葉。
この言葉に俺はまんまと乗せられた。
今になって思う。
俺があの時、あいつの誘いを断れていたらって。
「どうしてこんなことになっちまったんだよ。」
これが因果応報ってやつなのかな。
他人を利用しようとして、俺は利用されて。
間切を傷つけて。
たった一人の家族を失って。
謝っても、願っても、過去には戻らない。
失ったものは戻りはしないのに。
「真衣。バカな兄貴でごめん」
俺は無力だ。
ピコッ
スマホの通知音が真っ暗な部屋に鳴り響く。
『例の動画、1000万再生超えたぞ!』とメッセージ。
項垂れる身体を起こして、リンクをタップすると動画が再生される。
今思えば真衣との記録はこれしか残ってないのか。
「なんで、こんなもんしか残ってねえんだ」
悔しい、悔しい、悔しい……。
気づけば、2つの液体が手に着いていた。
久しぶりだ。この虚しさ。
バイト漬けの頃はイヤな事がある度にコレに逃げてたのに。
そっか。
イヤじゃなかったのかもな。あいつらと過ごす日々が。
【MOVIE0】
「オラッ!ちゃんと声出せや!」
「はい、店長! すんません」
「新発売のカスタードクリームコロッケはいかがでしょうか~! 試食もあるのでぜひ召し上がってください!」
はー、つれぇ。
俺は今、近所のスーパーでバイトをしている。
「君、妹ちゃんの学費稼ぎたいんでしょ? だったら声出して。君の給料も売上から支払われるんだからね?」
「そーすね、頑張ります」
そう答えてやると納得したのか、店長は何処かへ去っていった。
「そうじゃないわよ。そこのマヌケ面」
と声が響く。
見上げると女の子が立っていた。
桃色がかった綺麗な髪の毛、パッツン前髪のボブ。
メイクはナチュラルで控えめ、清楚ギャル風で、白いコードがすごく似合ってる。
マガジンのグラビアに居そうな面で、乃木坂のセンターに居そうで、けど幼い顔で、何かもうめちゃくちゃ可愛いかった。
だが……残念なことに、ちっぱいだった。
「こんなブラック企業理論、真に受ける必要なんてない」
女の子は髪をはらって、偉そうにそう言った。
「お客様の仰る事が分からないのですが?」
俺は無難なマニュアル対応で返事をする。
「給料は売上から支払われるんじゃない。会社から支払われるのよ」
「イマイチ伝わって来ないんすけど、どういう意味っすか?」
「……あんたバカァ?」
アスカ? にしてもいきなりバカはひどい。
「時給ってのはね、拘束された時間に見合った金額が支払われるの。いわばこれは会社があんたの時間を買ってるってわけ。売上なんて何の関係もないのよ」
たしかに、頑張って売上に貢献しても給料は上がってくれやしない。
逆もまた然りだ。
それでも、俺にはあるんだ。
働かなければいけない理由が。
「そうっすね。一応昇給もあるらしいんで」
「その昇給とやらをされるまでに何時間働かないといけないわけ? 増えても10円とかでしょ。そんだけの為に働くなんてつくづくバカね」
少女は鼻で笑いながらそう言った。
そうかもしんない。
けど、だけど、どうして出会って1分のこいつにバカバカ言われなきゃいけねえんだ。
「さっきからバカバカうっせーよ。だったらお前はバカじゃないのか?」
「反論になってなくない? なんであたしの話?」
「お前が俺以上に賢くなきゃ俺にバカって言う権利無いだろ」
「権利なんてどこにあんの? 法律? 憲法?
あんたが言われたくないだけでしょ」
「ああそうだよ、下のやつにバカにされたくないって何が悪いんだ!」
「あたしにまでそのちっさい価値観押し付けないでくんない?」
ちっさいのはてめえの胸だろうが。
「さてはお前、自分に自信が無いから、んなこと言って誤魔化そうってんのか?」
喧嘩売って来た女の子は「はぁ……」とため息をこぼした。
「言う権利は誰にでもあんの。あんたの価値観如きであたしの言動を縛る権利のほうが無いでしょ」
「んなことねェよ、お前の横暴が通用してたまるか」
「なら、証明したげよっか?
バカ、バーカ、バァーカ、バーカ! はい言えた」
バカばっかだな。
マジで証明されちまったし、通用しちまった。
……………………
「黙っちゃってどうしたの?効いちゃった?」
うぜェ。
バイト始めて3ヶ月経つがこんなうざい客は初めてだ。
いわゆる“クレーマー”ってやつか?
「このスーパー美少女こももちゃんに食べてもらえただけ光栄でしょ?ねーみんなー?」
女の子はコロッケを頬張りながら一人スマホに向かって話している。
……なんだこいつ。
スマホに話してやがる。
「お前、もしかして寂しいの? かまってほしいの? 」
女の子は頬が一気に赤らぐ。
「はぁ!? んなわけないじゃない! なんであたしがあんたみたいなバカに構われないといけないわけ??」
「あーそうかよ、ならもう用は済んだだろ。さっさとどっか行けよ」
「言われなくてもどっか行くわよバカ!一生バカ人生歩んでるといいわ。 じゃあね、バカ!」
こいつの辞書には「バカ」って単語しか存在しないのか?
――――――――――――――――――――
あとがき
ワンポイント秘話
作者「こももは小さいけど美乳、しかも黄金比」
こ「なんで知ってる!?キモイ!!」
――――――――――――――――――――
こんな感じですって感じです。
7話(これを1話として7話)まで読んでください! 展開が変わります。
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