めちゃめちゃライトなコメディ風味のタイトルに惹かれてやってきたらめちゃめちゃずっしりとした濃い内容、しかもところどころ鬱???ってくらいの重さ。
なのに続きを読んでしまう。決して軽くはないが、文章が読みやすく、展開の面白さも相まってどんどん先へと手は止まらない。
世界観がきちんと作り込まれており、とても良質なファンタジー作品でありつつ、心情の機微が繊細に描かれていて涙を禁じ得ない場面も。
お願いだから幸せになってくれ・・・・八朔・・・
(登場人物の漢字がなかなか読めず苦労。でもそこが和風ファンタジーの醍醐味の一つ!!いそうでいなさそうなちょうどいい塩梅の名前です・・・)
カクヨム公式レビュワーのレビューから来たみなさん、こんにちは。
あなたは今、おそらくこの小説をワクワクコメディだと思っていることでしょう。
(それ以上の情報はいらねぇ!という方は、そのまま1話へGo!)
ええ、この小説は確かにワクワクコメディです。あのキャラもこのキャラも、どのキャラもキャラが立っていて、掛け合いのテンポ・面白さはこの上なし!大福院きな子(金髪ピンクドレスの爆裂華麗転校生、ただし■■)に刮目せよ!
……けれど、その『枠』におさまらないのが『八朔少尉は乙女の枠におさまらない』。
このタイトルの意味を悟るとき、あなたはグェエ…と潰れたカエルのような悲鳴をあげるでしょう。
誰しも、あるはずです。
「こういう人間であってほしい」という周りからの圧──言い換えれば、『枠』に押し込められそうになったことが。
もう〇歳なんだから。
お兄ちゃん/お姉ちゃんなんだから。
〇〇社の人間なんだから。
苦しいですよねぇ。本来の自分と、あるべき自分と、周りの視線と……
この小説は、その『枠』への苦しみ(と、おそらくはそれを乗り越えていくハッピーエンド)を、精密な伏線とコメディを織り交ぜながら克明に描き出します。
ただのコメディ?ひと味足りない。八朔少尉はコメディの『枠』におさまらない。
八朔五十槻は十五歳にして皇国陸軍少尉として活躍する異能の使い手。誰もが一目置く忠勇双全の少年将校――しかし、その正体が少女であることを知る者はごくわずかだ。そんな彼女が大人の軍人たちに混ざり、禍隠と呼ばれる怪異と戦っていく。
この物語の魅力は、もちろん男装少女の華麗な活躍にある。だがそれ以上に、キャラクターたちの濃さと掛け合いの楽しさが圧倒的! 個性的な上司や先輩にいじられ、BL疑惑をかけられ、ついには親衛隊まで誕生してしまう五十槻。潜入先の女子校では嫌がらせから命の危機まで盛りだくさんだが、五十槻の天然ぶりがすべてを軽やかに笑いへと変えていく。
しんどい展開ですらコメディとして消化してしまうテンポの良さは、一度読み始めると本当に手が止まらない。
男装少女が好きな人はもちろん、キャラクターの成長や日常のコメディ感を味わいたい読者にも強くおすすめしたい作品です!
( 守られるのではなく守りたい! 男性の中で戦う強い女性主人公たち 4選/文=望月くらげ)