第十四話
side:カリマ
「どっちが勝つと思う?」
と仲間のスリーが聞いてくる。
「おそらく、いや、ほぼ確実にユキが勝つ」
ユキがしっかり戦った場合だがな
「ふむ、それならユキとやらの方に賭けてくるか」
とダブーが言い、賭けに行った。
冒険者ギルドには決闘をする時、賭け事ができるようになっている。基本的には勝利した方に賭けたら二倍なって返ってくる。
お、戻って来たな。
「どれだけ賭けたんだ?」
「手持ち全部」
「馬鹿だろ」
と二人の会話を聞くが本当にアホだろコイツ。
それはさておき、この勝負には俺にも得ることがあるだろう。それを少しでも見たいぜ。
side:ユキ
「よーい、始め」
スタートの合図と同時に体を魔力で覆う。
これで体を強化したし、気絶することはない。
攻めてくるのを待っていると雰囲気が変わったように攻めてくる。
「フフ、アハハ、ハハ、アハハッハ」
そして、狂ったかのように笑っている。
壊れたか?
ハルバードを横に振ったら後ろに縦に振り下ろして来たら横にずれるを繰り返す。
隙を見て攻めに転じるが怯まない。しかも効いているようには見えない。
どうする。どうやって気絶させる?
全力で叩くか?
そう考えながら技術のない敵の攻撃を避ける。
敵は今も楽しそうに狂ったような笑い声を出して次の攻撃を考えないで本能に身を任せたような攻撃をしている。
まぁいい。試すだけだ。
敵から離れ、木刀で抜刀の構えを取る。
敵が木刀に当たる範囲に入ってくる一歩手前に来ると同時に側頭部に打撃を入れようとする。が刀の範囲内ということはハルバードの範囲内でもあるため当然だが敵も攻撃をしてくる。
敵の攻撃よりも速く打撃を入れるが効いた様子はない。
ふむ、この打撃でよろめきもしないならユニークスキルが関係しているのかな。
凶暴になる代わりに攻撃が効かないとかかな?
まぁいいや。すぐ終わると思って見てなかった敵の魔力を見るか。
少しずつ減っているようだ。
魔力を使えなくしたら勝てそうだね。
それなら簡単だな。
そうと決まれば早速、魔力を練る。
練った魔力を敵の体内に叩き込む。
敵の体内では魔力が暴れ回る。
そして、糸切れたように倒れる。
気絶したようだな。
金を貰うために起きるまで待つか。
それにしてもユニークスキルはとても厄介だ。積み上げて来たものが使い物にならなくなる。
ユニークスキルを使わせないことが大切だね。特に能動的なスキルは使わせてはいけないね。
そんなことを考えていると青年の仲間たちが来た。
「殺してはいないだろうな」
と仲間の一人である男が言う。
「そんなことするわけがない。時期に起きるよ」
私はルールを守る人間だからね。
「ならいい。コイツはお前が勝った時になんかするって言っていなよな。それは何だ?」
「金貨三枚を渡す」
「分かった。ほらよ」
だと言って投げてくる金貨を受け取る。
そして青年を担いで出て行った。
...帰って冒険者カードを貰わないと。
そして、私は受付に戻り、冒険者カードを受け取った。
冒険者ランクはFからEにに上がった。
これで魔物討伐の依頼も受けられるようになった。金策がより楽になるね。
ーーーーー
それから三ヶ月依頼を受けては魔物を討伐したり、薬草を採取したりしてランク上げに取り組んだ。一カ所は無くなっていたんだけどね。
Cランクまでは順調に上がったがBランクには上がれていない。やっぱりCランクから受けられる護衛依頼を受けていないからだろうね。
でも護衛依頼はあまりないからなぁ。それに一人だと条件に達さない依頼が多いんだよね。
と考えながらクエストボードを眺める。
...お、いつもと違う依頼がある。
ふむ、森の異常についての調査か。
報酬は金貨三枚だ。魔物討伐のついでに受けよう。
調査の依頼を受けるために受付に向かう。
「どうされましたか?」
「森の調査を受けたいです」
「...分かりました。それでは説明はギルド長が行いますのでついて来てください。
「はい」
受付の人について行き二階に上がる。
そして、ギルド長室前に行く。
「ギルド長、調査の依頼を受ける人がまた来ました。説明をお願いします」
「分かった。入れ」
とギルド長が答え入室を促す。
「それでは私はこれで」
と言い受付の人は戻る。
「失礼します」
と言い私はギルド長室に入るのだった。
「すまない、この書類に手が離せなくてな」
「問題ないです」
そして、ペンを走らす音だけが部屋に響く。
それから十分後、ペンの音が止むと
「待たせた。今から説明をするが準備はいいか」
「大丈夫です」
「それじゃあ早速、説明を始める。今回の依頼は森の異常調査だ。具体的には魔物の数が増えている原因を探って欲しい」
「分かりました。それと森の調査範囲と時間はどのくらいですか」
この二つが一番重要だからね。
「...全域、と言いたいところだが不可能だろう。だからここから半径三キロほど探って欲しい。時間は日が落ちるまでだ」
と言いながら広げた地図に指差す。
街から遠いな。
「分かりました。原因を見つけた場合は報告するか殺すかどちらがいいですか?」
「どっちでも構わん」
「分かりました。聞きたい事も聞けたので早速、行きます」
「結果を期待している」
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