第十二話


 冒険者カードは免許証のような形で名前とFと書かれた冒険者ランクしか書かれていない。


 受け取った冒険者カードはアイテムボックスという空間魔術を使い保管しておく。


 今することもないし常駐依頼でも行くか。でもFランクは薬草採取しかないな。と思いながらクエストボードを眺める。常駐依頼は証明部位と報告だけで良いって書いてあるな。

 探す薬草は体力草と魔力草だね。よし、確認したことだし森に行こう。

 そう考えながらギルドを出る。


 ーーーーー

 side:冒険者ギルド


 ユキが去ってからはユキの話で持ちきりだった。ある人は可愛いだとか、違う人は綺麗だとか。容姿について話す者が多い中、全く別のことを考える者もいた。

 その一人がこの男だ。



 俺の名前はカリマ。Aランク冒険者だ。アウグルの冒険者の中で一番とは言わないが二番、三番目に強いと自負している。


 そんな俺だが自信が無くなりそうだ。なんでかっていうとさっきまでいた女のせいだ。

 名前は何だったか?...そうそうユキって言ってたな。


 何なんだあれは?本当に。

 俺のユニークスキル『直感』が今までで一番ヤバい警鐘を鳴らしている。

 あいつはもうどっか行ったはずなのにまだ危険だと言っている。

 この直感には何度も助けられたから本当だと思うが信じがたいな。

 まぁいい、俺は直感に従うだけだ。


 ...あいつには関わらん。

 あとで仲間にも伝えておくべきだな。


 でも強くは見えんかったな。

 んなアホなこと考えてると

「さっきのやつはなんだ!!」

 と叫びながら2階からギルド長が降りてくる。

 だが誰も反応をしない。少しして誰か知らんが

「ここに初めて来たやつっすか?綺麗でしたよ」

 と答えやがる。それだけだったらあんな慌てねぇだろうがよ。

 たが、周りの奴らも釣られて容姿について言いまくる。


「...まさか、お前ら全員、気付かなかった訳じゃないよな」

 ...困惑してるぜ。おもしれー顔。


 とりあえず出ておくべきだな。ここは

「俺は気づいたぜ」

「俺は気づきました...」

 むっ、俺と同時に言ってやつは...ってアレクか。

 アイツも気付いたのか。

「あぁ良かった。それじゃ今すぐ上に来てくれて」

 呼ばれたら行くしかないな。

「ういしょっと。分っかりやしたー」



「よし、二人ともそこに腰をかけてくれ」

 俺たちは今、ギルド長室にいる。

「うちのトップ二人が気づいてくれて助かったよ。本当に」

 と安堵した顔を見せる。

 いや、そんな危険なことではないだろ。

「ちなみに俺は直感で強いなって思っただけです」

「その直感はユニークか?」

「はい」

「ならいい」

 俺もここで伝えておくか

「俺もユニークだな」

「そうか」


「なんなんだお前ら、疑った目で見て。俺もユニークを使ったと思っているのか?」

「そうだか?」

「もちろん」

 アレクも考えてることは同じってわけか。

「...今から大体一時間前ぐらいだな。俺は魔物の異常発生の報告を受けていんだかな。その話を聞いている時に魔力の小さな波が来ていることに気づいた」

「こんなことが出来る奴はごく一部な上、隠蔽も施されてあった。だから今すぐにでも見に行きたかったが、なんせ報告を受けてる最中だったからな。ユキって奴が去ってからになっちまった」

 あいつの名前はユキなのか。忘れないようにしておかないと。

「俺もそのぐらいに直感が働きましたね」

「俺はユキを認識してからだな」

「ほう、それは大体何時間前なんだ?」

 何時間前だったけか...


「おそらくあんたらが気づいた十五分前だったな」


「分かるか?この異常さが。なんでこの三人以外に気付いた奴がいない...」

 分かっても主張しない奴はいるだろうに

「それはただ単にそういうユニークスキル待ちがいなかったんじゃないのか?」

「直感系のか?」

「そうだ」

「俺は直感系のユニークじゃないが気づいたぞ」


「俺は微量な魔力の波で気づいたんだ。つまり魔法使いや魔力系のユニークでも気づくはずだろ」

「なるほどな。だが俺の方は遠目だが気づいている様子はなかったぞ。そっちはどうだ?」


「...俺の方もそんな反応はなかったな」

「...まじか。そんな感じはしていたが。だが、そんなことよりもマズイことがあってだな」

 これよりもマズイことってあるのか?

「それはだな。刀を使うってことだ。分かるか?魔法ではなく刀を使うって言っていることが」


「...ふむ魔法よりも刀が使えるってことか?別にそれはよくあることじゃないか。S級だって魔法と剣を使う奴もいるだろ」

 俺も同意見だな。

「まぁ、そう思うよな。いや、そう思っておいて構わない。そしてS級は不可侵だ。怒らすなよ」

「命令ですか?」

「そうだ」

「そうですか。戦いたかったのに」

 あー忘れた。コイツ戦闘狂だったな。

「怒らせないなら戦ってもいいぞ。あとお前もだ。カリマ」

「分かってますよ」

「それならいい。これで話は終わりだ。他の奴らにも伝えておけ」

「うっす」

「了解した」
























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