えぴろーぐ
電車のドアが開く。全力でダッシュ。
「――はぁっ、はぁっ、」
ホームの階段を駆け上がりながら腕時計を見る。
十八時四十分。
「やべぇ、、」思わず表情を歪ませる。すでに四十分オーバーだ。
プチ公前に着く。
「美月さん、」
辺りを見回す。――しかし彼女の姿はどこにもない。
「終わった。。」
その場に膝を突いてうなだれると。
「――なーに泣きそうになってんだよっ」
「いった! ……って」
――目の前に、女神がいた。
下ろしたロングの髪、秋色の大人びたワンピースに、がらりと雰囲気を変えて……。
「ちょー待ってたんだからね?」
「マジでごめんなさい! 電話番号、覚えられなくて」
せめて番号がわかればショートメールで連絡ができたんだけど。ほんと、待っててくれてよかった……。
「……ほい」
すると、美月さんがメモを差し出す。
「え? これ……」
「LIENのIDと電話番号。失くさないでよ?」
そこにはペンでアルファベットの列と十一桁の数字が並んでいた。080から始まる、携帯の番号。
「……まぁ、それだけわたしに夢中だったってことで、許してあげる」
うっすらと朱に染まる美月さん。
ふいと目線を逸らして。
「……」
「な、なに?」
「今の美月さん、すげぇ可愛いです」
「っ、チョーシのんな!」
「あだだ、、」
素直に褒めたら頬をつねられて軽く怒られた。
まぁこのくらいで済ませてもらえるのならば安いものだろう。本当によかったぁ……。
――――
……
歩き始めた交差点の向こう、電光表示が流れている。
二階までスノーバックスの店舗が入った、ガラス張りのビル。
『――今週の運勢 みずがめ座 11位 ……』
「美月さん、たぶん俺たちうまくいきますよ」
「なんで?」
「伸びしろあるらしいから」
こちらを向き、きょとんとする彼女。
「――じゃ、そうゆうことにしとく」
「しといてください」
にっと悪戯っぽく告げた彼女は――やっぱりめちゃくちゃに可愛いのだった。 (おわり)
献血で年上ナースに愛されまくった。ついでにちょっとだけ世界救う。 緋名坂ミヤビ @arismi
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