第12話

しかし、神代くんはそう甘くはなかった。




あの日から2週間程たったある日、不幸にもまた、担任に面倒事を頼まれた。



しかも、あの4階の資料室に。




前回あんな事があって行きたいと思うはずがない4階。



嫌だと、断っても大事な会議があるからと、強引に担任に押し付けられ、仕方なくあの空き教室の前を通らないように逆の階段から登ることにした。




足取りが重いのは、4階まで歩いてるからとかじゃなくて、神代くんに会ったらどうしようという不安からだった。




やっとの思いでついた資料室の扉の前。




早く置いて帰ろうと、ドアを開けた。










「覗き見の変態ちゃん」







悪魔の声かと思った。




心臓は馬鹿みたいに必要以上に動いて、脚はガクガクと小刻みに震え、額には嫌な汗が滲む。




そんな状況で、立ち尽くしていると急に神代くんは動いた。




神代くんが動いたことで、緊張の糸が途切れ床にストンと座り込む。



ヤバイとあたしの感は騒ぎちらし、責めたててくる。




必死に床に手をつき立ち上がろうとするが、脚に力が入らない。




涙が出てきて、視界がぼやけていく。

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