第7話
ジワジワと涙が溜まっていく。
「おね、がい………今日はダメな日だから………っ」
なんで今日を選んだのか、本当に後悔した。
神代くんはブラのホックに向かおうとしている手を止める。
ゆっくりとあたしの顎を持ち上げ、目を合わせてくる。
「なぁ、沙桐。お前俺の子ども産まねえ?」
何言ってるのとか、狂ってるとか、そういった感情は何一つ無くて、神代くんなら言いかねないなとは思った。
でも、それはあたしがちゃんと理解してなかったからだ。
言葉の意味を理解した瞬間、言わなきゃよかったとまた後悔が増えた。
「やだ…っ、お願いだから付けて………っ」
必死になって神代くんに懇願する。
彼のトレーナーの胸元を掴み、目を合わせる。
ここだけは譲っちゃだめだ。
あたしは、自分にムチを打つ。
すると、形の良い唇からは楽しそうな返事が帰ってくる。
「じゃあ、付けてあげるから今日は沙桐が上で俺のこと気持ちよくしてよ」
嫌だなんて言えなかった。
嫌だなんて言ったらまた、いつものように抱き潰される。
嫌なのに、嫌だって言えないあたしはもう従うしかない。
それでもまだ、返事をしないあたしに痺れを切らした神代くんはあたしの顔を覗き込む。
「返事は?嫌ならいいよ。付けずにしよっか」
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