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友達もいないわけではない。

好きなことに費やせるお金も少しならある。

好きと言ってくれた人とも一緒にいられている。

なのに、これ以上何を求めているのだろう


「舞。」

「!・・・・・あ、匠吾。」

「また、過呼吸なっとたで。大丈夫か、」

「大丈夫・・・・ごめんね。」

そう私が言うと、匠吾はまた隣のベットに戻っていった。

一緒には、寝てくれないよね。

期待をしすぎている私が悪いんだ。

これって、私が悪いの?

そういう思いを押し込めて、何年になるだろう。


「じゃあ、今日も帰る時連絡するわ。何かあったら連絡せえよ。」

「うん、ありがとう。」

匠吾はそう言って家を出ていった。


匠吾は優しい。

仕事も出来るし、なんでも出来る私にとって勿体ない人だ。

だから、ふと思ってしまう。

私、匠吾に似合う奥さんになれているのだろうか。


買い物をして、店を出るともう辺りは夕暮れだった。

起きて家の仕事をして、少し自分の仕事をして夕飯の買い出しをして夕飯の準備。

繰り返す毎日、積み重なる重い何か。


私って何のために生きているのだろう。

ふと、そう考える時がある。

匠吾との関係に目を背けていること。

いつから恋人から家族、いや、家事をする人としての役割をこなす毎日になってしまったのだろう。

あんなに、匠吾の事を好きだと思っていたのに。


結論のない考えを思い浮かべながら歩いていると、後ろから声が聞こえた。

「舞ちゃん、やないか?」


「裕太。」

「やっぱり、舞ちゃんや。懐かしいな。」

裕太は私の大学の頃の友人で、今は漫画家として活躍しているよ友達からは聞いていたが、まさか同じ町に住んでいるとは思わなかった。

「すごい偶然やな!ビックリしたわ!」

「私も。裕太変わらないんだもん。」

「舞ちゃんも変わらんやん。可愛いまんまや。」

「やだ、人妻にそんなこと言ってもなにも出ないよ?」

「ああ、そうやったな。楽しくやっとるか?」

「!」

裕太の問いかけに思わず顔が強張ってしまった。

ほら、いつもみたいに言うだけ、と自分に言い聞かせる。

「うん。幸せだよ。」


「そうか。なら、良かった。」

そういう裕太の笑顔は昔と変わらず太陽のような、優しく輝いていた。

「裕太も、漫画順調みたいだね。」

「ああ。このまま売れっ子になるで!」

そう言って胸をポンと叩く姿につい笑ってしまった。


「やっと笑ったな。」

「え?」

「なんか舞ちゃん元気がない気がしたから気になったんや。

笑えてるなら、大丈夫やな。」

その言葉に、なぜか私の胸の中は暖かい物で包まれていた。

「じゃ、またな。」

そう言い、去っていこうとする裕太の腕を取っていた。


「もう少し、話してもいい?」

自分からなにか行動を起こしたのは、いつぶりだろう。

どうなることも知らずに私は、その太陽を引き留めてしまった。





















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