第6話
『っな…なんで…?だ、大丈夫っ?!』
私を─…守ってくれたの?
すぐ後ろで、建物に突っ込んでいる車が見える
撥ねられたのだろうか?
いや、それにしては衝撃が少なすぎる
自慢ではないが、車に撥ねられた経験は人生で3回ほどある
どれも今みたいな生ぬるい衝撃では無かった
倒れたままの和泉くん…安易に身体を起こしたりしてはいけないことを知っている私は、彼に触れることなく声をかけ続ける
『っい、和泉くん…?!和泉くん、大丈夫っ?!どうしよう、私のせいで、、』
今まで自分が被害に遭うことはあっても、人を救護したことなどない
そもそも、あの車に乗っている人はどーなった?
車─…炎上とかしたらここも危ないのでは?
───警察っ!!!
警察に連絡しようとスマホを探すけど、持っていたカバンが見当たらない
パニックになっている私の腕を─…
そっと、目の前の和泉くんが握った
「…大丈夫?ケガ、してない?」
その言葉に、涙が出た
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