【特別賞受賞!】オレの水魔法はどこかおかしい 〜気がついたらスラムのゴミ箱に捨てられていた〜

市ノ瀬茂樹

第一話 痛い目覚め

 グゥーグググッゥ、頭が割れそうに痛い。


 両手で押さえても痛みは消えない。


 歯をくいしばって我慢しなくちゃ。


 んっ? なんで我慢しなくちゃいけないんだ。


 オレはハッと気がついた。


 臭い! なんだココは!! 


 ドロドロした腐ったナニカがオレの身体にまとわりついて、ネトネトしてる。


 ココはどこだ…? 


 オレは…誰だ…? 


 痛む頭を両手で押さえながら上を見ると、腐った木の板のあいだから暗い空が見える。


 そーっと立ち上がろうとして、足腰の痛みにしゃがみこんだ。


 腐った匂いに吐きそうになるのを我慢したが無理だ。


 口から出たのは酸っぱい汁。


 そういえば腹も減っているようだ。


 とにかくこの場所から出たい! 


 奥歯をギリギリとくいしばって足腰と頭の痛みを我慢しながら立ち上がり、木の板を持ち上げようとしたが、両腕も両手も傷だらけで痛くて満足に力が入らない。


 痛さに耐えかねてしゃがみ込んだが、無理して立ち上がったから腰も膝も痛くてたまらない。


 まるで固い棒か何かで滅多矢鱈めったやたらに袋叩きにされたようだ。


 もしかしたら骨の何本かは折れているかもしれない。


 痛む頭を抱えながら思わずつぶやいた。



「なんでこんなところにいるんだろう。オレはいったい誰なんだ?」


 オレは何もわからないままその場に座り込んで痛む頭を抱え込んだ。

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