第23話 ギルド
ここは太陽の町――ソルベルグ
高台に築かれた聖都で、朝日と夕日の光を一身に浴びる。
商人や冒険者で活気づいている町であり、平和と秩序の象徴とされる。
そしてここはソルベルグの冒険者ギルド。
剣を求める者、名声を夢見る者、あるいはただ生き延びるために仕事を請け負う者……あらゆる思惑を抱えた冒険者たちが、この扉をくぐり抜けていく。
厚い木の扉を押し開ければ、まず目に飛び込んでくるのは広々とした石造りのホールだ。
壁際には依頼を張り出す掲示板があり、討伐、護衛、採集……数え切れぬほどの依頼書が並んでいる。
冒険者たちは掲示板の前に群がり、声を荒げて依頼の取り合いをしていた。
奥には酒場を兼ねた休憩所があり、昼間から酒を煽る戦士や、地図を広げて打ち合わせをする冒険者たちの姿が見える。
木製のテーブルと椅子が並ぶその空間には、剣と革鎧の匂い、酒と汗と香辛料の混ざり合った濃い空気が漂っている。
正面の受付カウンターには、几帳面そうな受付嬢たちが座っており、次々とやって来る冒険者の相手をしている。
新米の登録希望者から熟練のベテランまで、彼女の前には途切れることなく列が続いていた。
その中、酒場の一角――。
テーブルを囲んだ数人の冒険者たちが、ジョッキを打ち鳴らしながら談笑していた。
「そういやー、カイロスらのパーティー最近見かけねーがお前らなんか知ってるかー?」
一人がビールを飲み干し、ジョッキを机に叩きつける。
「言われてみれば最近見かけないね」
「なんか、新しいダンジョンが発見されたから、それの調査クエストを受けたらしいよ」
「はえー、新しいダンジョンかー、俺らも行ってみてーな」
「そうねー、今のクエストが終わってそのダンジョンのクエスト依頼が出ていたら受けてみましょ」
「そうだなー。それがいい」
すると、若い冒険者がふと声を落とす。
「でも、カイロスたちが出て行ったのってもう九日くらい前じゃなかったっけ」
「なんだー、帰ってくるのが遅いって言いてーのか?」
「…うん、なんかあったんじゃないかな」
「…っふ、まったく心配性だなー。どうせそこらへんで道草食ってんだろーよ」
「…そうだと良いけど…」
しばし沈黙が落ちる。だが笑い飛ばすように言った
「まあ大丈夫だろ、なんせあいつらのパーティーはゴールドのランクだしな」
「確かにね、だからそんな心配しなくていいんじゃないかしら」
彼らの笑い声が響く。だが、テーブルの片隅に座っていた若い冒険者だけは、微かに唇を噛んでいた。
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