美術大学への進学を志す高校生の武佐士は、アルバイト先で出会った無口な同級生・花木美鳥に受験の相談を持ちかけます。
しかし、彼女に案内された父親のアトリエで突如告げられたのは、歪な家族環境によって彼女の心が深く壊れてしまっているという、あまりにも重い真実でした。
人を信じられず、時に激しい感情の波に飲まれて取り乱してしまう美鳥。
それでも武佐士は決して逃げ出さず、ただの高校生である自分に何ができるのかを必死に自問自答しながら、彼女の放つ悲痛な「救難信号(SOS)」を全身で受け止めようと決意します。
本作の最大の魅力は、特別な力を持たない等身大の主人公が、ヒロインの抱える生々しい痛みと真正面から向き合う「覚悟」の尊さにあります!
自分の心をコントロールできずに泣き崩れ、時には彼を激しく拒絶してしまう美鳥の姿は読んでいて胸が締め付けられますが、だからこそ、不器用ながらも彼女のすべてを肯定し、そっと寄り添い続ける武佐士の優しさが深く心に沁み渡ります。「武佐士くんだけが、本当の私を見ていてくれる」と涙ながらにすがる彼女と、自己犠牲を厭わず彼女の盾になろうとする主人公。
過酷な現実の中で、二人がどのように光(未来)を見出していくのか、最後まで見届けずにはいられない、切なくも美しいヒューマンドラマの傑作です!