妖怪や妖精が出てくる作品はたくさんありますが、この短編集は「怖い」よりも“心の温度”が残る物語ばかりで、不思議なくらい優しい気持ちになりました。
特に「ツチノコのチノさん」とゆうまくんの交流は、読んでいてほっこりしましたし、「めそめそ」と「ねむねむ」のやり取りは、可愛らしいのにどこか切なくて、思わず微笑んでしまいます。個人的には、怒りの妖精いらいらが、ただ怒るだけじゃなく、不器用なくらい優しいところがすごく好きでした。
妖怪や妖精という存在を通して、“泣くこと”・“怒ること”・“寂しいこと”まで肯定してくれるような、不思議な包容力のある作品です。童話のような読みやすさなのに、読後にはちゃんと心に残るものがあるので、疲れた夜にぜひ覗いてみてほしい物語集でした。