第20話
地球の混乱は当然おきたが、ミュージアムに入った者たちゼクシィ大統領が究極のノラえもん信者だと言うことを知って、なんとなく察した。
「好きすぎたから自慢したかった」
リーシャの言葉は全てのものが含められていた。
「お前も入った?」
「入った入った。まるでランドだ」
「街みたいで異国に行った気分になった」
「ノラえもん国?言えてる」
「やっば、ノラえもんしかない」
「他の施設も欲しい」
「各国にあるって本当なのかよ」
「大型配信サイト見ろ。大統領ちゃんねるめっちゃ面白い」
「ノラえもんのことしか言ってない」
ノラえもんミュージアムは施設の真ん中に摩天楼よりも巨大なノラえもんを模した巨大なものが悠然と鎮座している。
案内のロボットのようなものが施設内を案内しているので迷子にもならず、移動距離が遠い場合はロボットに付属しているワープ機能により一瞬で移動出来る。
このミュージアムはゼクシィの施設よりも小さいという真実があった。
それでも広すぎる。
施設内限定でノラえもんの道具を体験出来る。
これなら地球に技術を渡さず、技術崩壊も怒らないよと大統領が幻覚でウインクをしてきた。
「大統領、せっかちだな」
私はパタンと小説を閉じた。
地球のデバイスにアクセスして地球の様子を検索したが、ノラえもんパークともいえるそれに笑みを浮かべた。
食べ物は少ない。
ゼクシィ星の主食なら積み上げられているのだが、ゲテモノとして誰も手をつけていない。
「そうだよ。誰も食べないよ。せめて無味なら良いのに」
大統領は善意で置いたっぽい。
「リーシャ!遊びに来たぜ」
「ササエさん読んだの?」
ジャニクはアニメを見ているぞと否定する。
「おれには活字よりもアニメの方が合ってる」
「私もそっちが面白いことあるから、分かる」
「ササエさんに出てくる縁側、大統領自宅に作ったの見たか?良いよなー!」
いつも通り、大統領の権力とお金がヲタ活に運用されていた。
なによりである。
「俺もあの縁側ほしーぜ」
「大統領が絶対販売するから気長に待てば?」
「おまえは欲しくないか?」
「私の欲しい縁側は日本家屋の方なんだよ」
「ニホンカオク?日本っつうことは、地球にあるもんなのか」
「うん。地球にリクエストしてみよ」
「じゃあ、俺は団子食いたい」
「団子か。分かった」
「焼き芋も!」
「焼き芋は大統領が地球の輸入品として販売してるでしょ」
焼き芋といっても値段は様々なので、地球も気合を入れている。
ササエさん一家がかなりの頻度で焼き芋を食べるので皆も食べたがって、焼き芋ブームも到着済だ。
外を見ると。
「火を付けたから焼き芋食うやつ入れろ」
「「おー」」
と、どこかで必ず焼き芋が焼かれている。
そして、焼き芋屋さんが登場。
「焼き芋どうぞ」
「焼き芋おいちー」
子供の姿の子どもと一歳しか離れていなさそうな見た目の大人が美味しそうに頬張っている。
大統領が焼き芋を焼いて食べる動画放送を見ている人ばかり。
『うーん。焼き芋ってホクホクしてて、甘くて幸せ〜』
と、食レポしてた。
「焼き芋輸入始めたよ!」
とも、宣伝していた。
「大統領が手配してCMしてるんだよね、よく考えなくても」
「大統領の焼き芋動画、別の食べ方配信するってゼクシィツイで予告してたぞ」
というジャニクの発言に知ってる知ってる、と笑う。
この前、大統領が我が家にまたアポイントメント無しで、芋を持参して芋農家のコスプレで登場した。
コスプレ作る暇があるのならメールひとつ送れますよねと言ったが効果があるのか不明だ。
「リーシャくん!焼き芋を料理することにしたんだけど、レシピを貰ったから大統領といっしょ、をともにやろうではないか」
何か色々パロディ入ってる。
「料理ならゼクシィ料理部門でも作ればいいのでは?」
「私は今やりたいのだ。間に合わん。作ろうと企画書は作ったのだが、私は早く作って皆に知らせたい」
「大統領……そうですね。分かりました」
大統領はすがるように見てくる。
レシピは芋の炊き込みご飯だった。
他にも芋がメインのレシピが並ぶ。
大統領が動画に取りたいというのでオッケーした。
「対談お料理動画だよ」
「ろくな料理ないのに、どうしてそういう概念あるのかな」
白ご飯はまず100キロねと大統領は亜空間からコメを出す。
待て待て待て。
「大統領、4合とかで良いのでは?なんですか100って。急に大統領大家族にでもなったのですか?」
「私の食べるストックさ」
飽きたらどうするんだろう、この人。
「大統領の美味しく調理する調理道具シリーズもあった方がいいですね」
なにか言うこともなく、大統領に芋を細かく切るように伝える。
「えい!大統領マンのさつまいもシュレッダー!」
だから、なぜ料理もろくにないのにシュレッダーとか語録知ってるんだ。
大統領だからなのか?
大統領は豪快なポーズと裏腹に非常に精確な手腕でサツマイモを細かくした。
「大統領マンは次なにをすればいい?」
大統領マンって駄菓子屋の時のコスプレ名だから、今回は大統領農家さんの方が良いんじゃないかと思った。
「次はこの、調理道具にお米とサツマイモを混ぜたものをいれるだけです」
いい感じに炊いてくれる事だろう。
「おお!なんと、簡単」
動画の映らない場所では私の両親がカメラ機能を回していた。
おまけにうちわっぽいなにかに名前とか書いたものを掲げて特等席にいる。
いつの間に?
「よおし、大統領が特注で作らせた調理道具に100キロ入れるよ。サツマイモも50キロをこうして、混ぜて……よし、完成っ。皆は家庭用で作ろう」
動画が料理コーナーから、雑談に切り替わる。
「ハイハイ!大統領が質問。ずばり、次の新作は?」
大統領がだれよりもぶっこんできた。
「たくさんあって迷ってます」
「迷うほど後があるってことに私は倒れそう!ボディガードくん達、大統領倒れるかもだからスタンバイだ」
大げさに言うと護衛2人はウチワをさっと前に出す。
『いつものこと』
『ついでに寝ればよろしいかと』
いつも我を出さない護衛達に護衛対象はそんなあ、と踊った。
そんな出来事を思い出したリーシャにジャニクが知恵を出して、さてはなにか知ってるのかとこちらを揺さぶる。
「いいなあ、なにか見たのか?大統領となんかあったなその顔ーっ」
その日、大統領ちゃんねるにてクッキングコーナーと雑談コーナーが配信された。
ゼクシィツイ、またはチャット
・まさかのクッキングコーナー
・サツマイモって他にも食べ方があるのか?そっちの方が驚きなんだが
・炊き込みご飯美味しそうで、直ぐに作った
・100キロって
・流石大統領
・特注とかあるんだ
・通常は家庭用で、業務用もある
・業務用よりも大きくなかったが
・なんでレパートリーなんてないのに業務用があるんだか
・あ!作者のアカウント!
・リーシャさん。クッキング観ました
・大統領と突発的なコラボ
・良いコンビでした!
・またコラボお願いしますよお
・サツマイモが美味しそうで涎凄い
・大統領豪快だ
・雑談の方に注目するべき
・そうだよ。新作の話が結局煙に巻かれている
・知りたいけど知らなくて良いかな?
・知らないでワクワクする方が良い
・新作は知りたいよ
・やはり知りたい
・私も知りたい
・で、リーシャさん。新作どうです
・ノーコメント
・ノーコメントきた
・返信早い
・ササエさんが発売されてまだそんなに経ってない。気が早い
・作者多忙なのでは?
・そうそう。ノラえもんの作者だよ?おまけにまだ未成年。
・そうだった。未成年だった
・有名過ぎて大人扱いしちゃうよな
・地球について詳しいよね
・食べ物の描写が良くて、全部食べたくなる
・美味しそうだ。実際同じものが輸入リストに載り始めてる
・全部注文したいけど、これからも増え続ける
・大統領、力入れてるよな
・ノラえもんとササエさん。どちらも好きになった
・大統領、明日もなにを紹介するんだろう
・最近はササエさん読み聞かせだろ
ゼクシィツイを適当に流し読みしたリーシャはサツマイモと白飯の炊き込みご飯を口に入れた。
例に漏れず大統領ちゃんねるに感化されやすいのは、星民性だからね。
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