霊夢
無数の鉄柱が雨のように降り注いでくる
それは、世界の終わりだった
人間は神からの本当の天罰を受けることになったのだ。
天災では人間は反省しないし
その本当の意味に気付かないから
刃のように鋭く尖った鉄柱は
次々とボクらを貫いていく
痛みはない
でも、混乱した人々は叫び狂い
泣き叫んでいる
けど、何も聞こえない
それよりもボクは”彼女”の姿を探していた
”彼女”はボクのすぐ近くにいた
手を伸ばす
あと少しなのに届かない
最期に”彼女”に触れていたいのに
ボクは懸命にあがいた。
体が千切れてもかまわなかった
”彼女”は青い空を見上げたまま
ボクの方を見ない
わかっている
ずっとそうだった
どんなに追いかけても
どんなに頑張っても
”彼女”はボクを見ない
でも、最期くらい”彼女”に触れていたい
ねえ、神様
それくらいなら願ってもいいでしょ?
空を足掻く手
これがボクの最期の足掻きだから
だんだんと意識が遠退いていく
それでもボクは足掻き続けた
諦めたくなくて
諦めきれなくて
そのときだった
唐突に”彼女”がボクの手をつかんだ
ボクは驚いて繋がった手を凝視した
そして、ゆっくりと”彼女”の顔を見た
”彼女”はボクを見て微笑んでいた
ああ、もう死んでもいいな
薄れ行く意識に身を任せようとすると
”彼女”がゆっくりと口を開く
「これは――――――」
周囲の人の声にもかき消されず
”彼女”の声だけがハッキリとボクの耳に届く
やっぱり、とても綺麗な声だ
そして、ボクは―――――――
「これは夢だよ?」
目を覚ます
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