知らない子



"アヤ、今日は会える?"


バイト中に受信していた彼氏からのメッセ。



バイトだったけど、もう上がったよーなんて、次に続くスタンプを探す。

ふと顔をあげれば、私の目の前には肩を抱いた男女が1組。







「知ってる子ー?」


化粧の濃いギャルはすぐに私の視線に気が付いたのか、耳がキンキンするようなバカっぽい声を吐き出した。




……て、あなたこそ誰ですか?




「知らない子」


私から思いっきり顔をそらして、私なんか見たことないって感じで答える目の前の男。


開いた口が塞がらないというのはこの事。



駅近くのラブホ街で有名な裏通り。


そこで女の肩に手をまわしているコイツは、私の"彼氏"の筈だった──。

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