第2話
メニューを注文して、届いたランチを食べながら美月と近状報告したり色々な話をしていた時だった。
〜♪
「っ、」
スマホの着信が鳴り響いた。
誰からなんてそんなの1人しかいない。
私のスマホには1人しか登録されてないから。
マナーモードにしておかなかったことに後悔する。
早く鳴り止めばいいのに、しつこい。
「出ないの?」
見かねて美月が出ていいわよ、と言うけど私は首を横に振った。
「大丈夫。ごめん、気にしないで。といっても気になるだろうけど……」
「そうね。でも優香が出ないと決めたならそれでいいと思うわ」
「はは……」
本当はこの電話に出なかったことによって、美月と別れた後が怖い。
マナーモードにしたけど、その後も電話をかけてきてるみたいで振動する。
スマホを見たくなくてバックの奥底に隠した。
そんな私を美月が憐れむような、複雑な顔で見ていただなんて分からなかった。
◻︎ ◻︎ ◻︎
「……。」
気づけば夕方になってしまっていた。美月と別れ、腕時計を確認すると18時過ぎだった。
(久々に楽しんだなぁ)
本当はもっと話し合いたかったのだけれど、流石にこれ以上はまずいかも、と思い美月に謝り別れた。
気分は高揚しているけれど、家に帰ってからのことを考えるとため息をつきたくなる。
結局あれからも電話をかけてきてたみたいで結局スマホの電源切ってしまった。
電源切ったの気づいてるよね。
それに電話出なかったから怒ってるはず……。
視界に見えてきたマンションに無意識に眉根を寄せたのは無理もないかもしれない。
鞄から鍵を取り出そうとすると、その前に開いた玄関に目を見開く。
「…ーーお帰り。随分、遅かったね?」
「大翔……」
何を考えているのか分からないほどの無表情に口を噤む。
多分、いや。かなりといっていいほど、私が思っていた以上に大翔は怒っているのかもしれない。
無意識に後ずさりしようとしたけど、腕を引っ張られて中へと引きずり込まれた。
「痛っ!」
あまりの痛みに悲鳴を上げたと同時にバタン、と閉められた玄関の扉の音にはっとする。
まずい、と思った時には遅くて。
冷たい瞳が私を射貫いた。
「……会ってもいいとは許可したのは俺だから仕方ないけど、こんな遅くまで遊んでいいなんて言った覚えはないんだけど?」
「…っ、で、でも、まだ18時過ぎだしそんな遅くないと思う……」
「へぇ。優香にとってはこれでも早い方だったつもりなんだ」
冷笑をして抱きしめられている身体を更に強く抱きしめられ、息苦しさに眉が寄る。
苦しいけどそれを訴えられる程、私は強くない。言ったが最後、大翔に酷い目に合わされるんじゃないかって思うとどうしても口に出すことは出来なかった。
「なんで電源、切ったの」
やっぱり。あの後も電話かけてきてたんだ。
スマホの電源を切っていたことがバレてしまい、顔を俯かせる。
なんとかいい訳を考えようとしていると、嘆息が聞こえてきた。
「や、大翔?」
「言い訳はいらないから。とりあえず、玄関にいるのもなんだし、中に入るよ」
有無を言わせない声に、頷くと大翔の手が伸びて。
ーーガチャンッ
玄関の鍵を閉める音がやけに大きく聞こえた。
その音にビクッとすると大翔が微かに笑ったような気がした。
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