永遠に繰り返される痛みと愛しさ

前編と後編で大きく分かれている本作。
読み終わるとどちらが始まりでどちらが終わりか分からなくなる。
繰り返される永遠の絶望と希望を表しているようで秀逸な構成です。
前半の主人公、殺人衝動を抱えた舞。<高位の存在>である雪蝶の提案で、自らも<高位の存在>になるための試練を受けることになります。
試練の影響でどんどん精神も日常も侵されていく。
ホラージャンルらしく、堕ちていく舞をはらはらしつつ見守ることになります。
舞をそそのかす雪蝶は美しいけれど不気味で不穏。
そんな雪蝶の秘密が明かされる後編。
読み切ると、雪蝶の言葉や行動の裏の意味が分かり、読み返したくなる作品です。
確かに愛しているのにどんどんずれていく。
それにもがき苦しむ登場人物たち。
永遠に終わることのない苦しみに見えますが、繰り返された先に仄暗い光が見えるような。そんな戦慄百合ホラー!

先が読めず毎日はらはらどきどき読んでいました。
ぜひ、ご一読ください!

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