第17話
パニック障害は、いつ治るのか。
そんな焦りを感じることは今、あまりない。
覚悟を決めた、のとは少し違うのかもしれない。私は結局、欠陥品で。
欠陥品ならば付き合っていかなければいけない、”故障”もある。
それに、このパニック障害は、病気なのだから、いつかそれは、治るということ。
玲が、蒼が、旭が、そしてこの、桐生先生がいれば、乗り越えられないものはない。そう思えた。
「先生?」
「なんでしょう。」
先生とこうして紅茶を飲んでいるだけなのに。なぜだろう、薬を飲むよりも心が落ち着く。
「先生は最近、どうなんですか?」
「……え?」
目を丸くする桐生先生に、クスリと笑みを零した。
「先生って私のことばかり聞きますよね。」
「そりゃ、」
「主治医ですから?」
私の言葉に、桐生先生は困ったように笑う。
なだらかに固められた髪は真っ黒で、垂れ目がちのその目は髪と同じく真っ黒。
眼鏡も黒縁なのに、耳に空いたピアスが少し、軽さをプラスしている。
いつもスーツを着ている先生は、とても魅力的な男性に見える。
玲という存在がそれを目立たなくさせてしまっているけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます