第2話

〈小さいけど、はい。〉









遊び疲れて眠ってしまった未来ちゃんに毛布を掛けていると、後ろから声を掛けられた。











『え……』









驚きのあまり、両手で口を覆った。









〈いつも、サンキュな。〉









男は、真っ赤なバラの花束をこちらへ差し出した。









『これ、わたしに?』



〈他に誰にやるんだよ。〉



『たしかに。』







2人で笑う。







〈ほら。〉



『ありがとう。』








花束を受け取り、目を閉じて香りを嗅いだ。








『いい香り。』



〈本数多いと匂いもキツいらしいから、このくらいにしといた。〉








男は少し照れながら、そう言った。









『1、2、3、4、……』







数えると、11本だった。








『11本。』



〈うん。11本。〉



『10本じゃなくて、11本なんだね。何か意味があるの?』













すると男はまた、恥ずかしそうな顔をした。





そして、頭をかきながらこう言った。












〈……あなたは私の宝物。〉

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