11

 お会計をして、恋する火星の家出から出たところで、私はすごく緊張していた。実は今日、私は恋する火星の家出のお店の中で君を見つけて、君に誘われて、ずっと憧れてたスープスパゲッティーを食べてから、お店を出たら、君とさようならをする前に『あることをしようと思っていた』のだ。

 だから私は今日、ずっと我慢していたなにかの記念日に自分へのご褒美にするつもりだった、アスパラとエビとベーコンのすこし辛めのスープスパゲッティー(大盛り)かため、を食べたのだった。

 それは君に関係することだった。私と君に。だから私はずっと(君に隠れて)どきどきしていたのだ。

(しかも、今日は君のお誕生日だった。それは偶然にしては、なんだかできすぎていると思った。私のこのどきどきする思いは、きっと神様がそうしないっていってくれているのだと思った)

 お店の入り口の森の中の隠れ家みたいなドアから少し離れたところで立ち止まった私を見て、先を歩いていた君は、振り返って、どうしたんだろう? と言ったような顔をした。

「どうかしたの?」とにっこりと笑って幸せそうな顔で君は言った。

「あのさ、大切なお話があるんだけどさ」と私は言った。

「うん。いいよ。なに?」と私のすぐ近くまで、いつも通りにまったく緊張もしないで、とんとんと歩いてきて君は言った。(私と君の距離はいつもとても近かった。もちろん全部君のせいだった)

 それから私は勇気を出して君に「私たち、友達にならない?」と、とっても小さな声で、恥ずかしそうに照れながら、私は勇気を出してそう言った。

 すると君はきょとんとした顔をして、「私たちもう友達でしょ?」とそんなことを(今更なにいっているの? と言ったような顔をしてから)にっこりと笑って私に言った。

 君にそう言われて、私の顔は真っ赤になった。

 それから私と君はちょっとしたけんかをした。

 それが私と君が友達になった日の記念日のできごとだった。


 ハッピーバースデー。お誕生日おめでとう。


 恋する火星の家出 終わり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

恋する火星の家出 雨世界 @amesekai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ