24 静寂の中の鼓動
宿舎に戻った翔は、エリスの用意した夕食を前に座っていた。食事の香りが漂い、心地よい雰囲気が広がる。
「やっぱり、エリスの作る夕食はいつ食べても美味しいな。」翔は笑みを浮かべ、箸を進めながら褒めた。
エリスは照れくさそうに微笑みながら、「そう言っていただけると嬉しいです。今日もお仕事で疲れたでしょう?ゆっくり休んでくださいね。」と優しく声をかける。
しかし、翔の頭の中にはゼルトンに対する経済封鎖のことが浮かんでは消え、食事に集中することができなかった。戦略を練ることは常に彼の心を占めており、気を緩めることは難しかった。
そんな彼を見かねたエリスが、静かに声をかける。
「お疲れではないですか?」彼女の穏やかな言葉に、翔は少しだけ肩の力を抜いた。
「そうだな……少し、疲れたかもしれない。」翔は微かに微笑む。
エリスは優しく続ける。
「まずお風呂はいかがですか?お背中お流ししますね。」彼女の申し出に、翔は頷き、風呂場へと向かった。
湯舟に浸かると、緊張が少しずつ解けていくのを感じた。
「ふぅ……」翔は目を閉じ、身体に染み渡る温かさに少しだけ安堵の息を漏らした。
「こうしていると、少し頭が休まるよ。」
エリスが背中を流し終えた後、一緒に湯舟につかり、翔の顔を覗き込む。
「……何かお悩みですか?さっきからずっと難しい顔をしていらっしゃるみたいです。」
翔は少し考えてから、息をついた。「ゼルトンへの経済封鎖を考えていたんだ。」
「封鎖……ですか?」エリスは湯気の中で少し驚いた顔をした。
「そうだ。いくつか考えていることがある。」
翔はお湯の中で手を動かしながら、思考を整理する。
「まず、海上封鎖だ。ゼルトン国の海上貿易の重要なルートを封鎖する。同盟国の海軍と協力して、商船や補給船を阻止すれば、ゼルトンには大きな経済的・軍事的打撃を与えることができるだろう。」
エリスは真剣な眼差しで翔を見つめ、静かに頷く。
「もうひとつは、密輸ルートの遮断だ。ルドルフ伯爵のような連中がゼルトンに食料や物資を送っていた。それを完全に封じる必要がある。同盟国の協力を得て、ゼルトンへの物資の流入を徹底的に取り締まるんだ。」
「密輸の取り締まりですね。確かに、それは必要ですね。」
翔は更に続ける。
「それだけじゃない。情報戦も考えている。ゼルトン国内の反政府勢力を活性化させるため、外部から支援を送る。特に、亡命している革命家をゼルトンに送り込んで、彼らの活動を支援するんだ。これが成功すれば、ゼルトンを内部から揺るがすことができるかもしれない。」
「内部から……」エリスは翔の計画をじっくりと考え、少しの沈黙の後、静かに口を開く。
「革命家を送り込むというのは、大胆ですね。」
「そうだ。」翔は少し力強く頷いた。
「戦いで勝つだけではなく、ゼルトンを内部から崩壊させる。それがこの戦争を終わらせる鍵になるかもしれない。」
湯舟の中で、2人の間に漂う静けさが、重みを持って感じられた。翔はエリスに感謝の眼差しを向ける。
「ありがとう、エリス。こうして話すことで少し頭が整理できたよ。」
翔は静かに手を伸ばし、エリスの胸元に軽く触れた。エリスは一瞬驚いたものの、微笑みを浮かべたまま彼を見つめ返す。
彼女の頬にそっと手を添え、ゆっくりと顔を近づけた。
エリスは少しだけ目を閉じ、静かな期待を込めた。翔は彼女の唇にそっとキスを落とした。お湯の音が静かに響く中、2人の間に温かな感情が流れ込んだ。
キスが深まるにつれ、翔はさらにエリスを引き寄せる。湯舟の中で、互いの肌が触れ合い、温かさが伝わる。エリスの手は自然に翔の背中に回され、彼の身体を引き寄せるように優しく触れた。彼女の呼吸が少しだけ早くなり、緊張と期待が混ざり合った瞬間が続いた。
翔の手は彼女の背中をゆっくりと撫で、湯気の中で2人の距離がますます近づいていく。エリスの胸元に手が滑り込むと、彼女はわずかに体を震わせたが、それでも彼を受け入れ、彼女自身も彼に身を委ねる。
湯の中で互いの体温が混ざり合い、静かに響くお湯の音だけが2人の耳に残る。翔はエリスの首筋にキスを落とし、彼女は軽く息を吐きながら、その感覚を受け止めていた。
この作品が面白いと思ったら
『( ゜∀゜)o彡°』
とだけコメントください」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます