開いた口が塞がりませんッ!
第28話 開いた口が塞がりませんッ!
――やっぱりそれって嫉妬じゃないの?
なんて突っ込む声が、頭のどこかで聞こえた気がしたけれど、今はそんなことに加勢している場合じゃない。
さっき、『キス以上のことは勿論、子供だって産んでもらわなきゃならないんだから』って言ってたよね?
ということは、桜小路さんと結婚したら、キスどころか、セッーーピーピー(※菜々子の判断により自主規制をかけているようです) して、子供まで産まなきゃいけないってこと?
――それって、もはや偽装結婚じゃないんじゃないの?
あっでも、遠い昔の戦国時代とかだと、人質になった女性は子供も産んでたんだっけ。
――だとしたら、やっぱり人質の私が子供を産むのは当然ってこと?
図星をつかれた羞恥に顔を真っ赤にしていたはずが、今度はあまりの衝撃にボンッと爆発寸前まで全身をまっかっかにして、目まで白黒させてパニックに陥ってしまっている。
そんな私に向けて、いつしか怒気は消え失せ、落ち着き払った桜小路さんから今度は実にあっけらかんとした言葉がかけられて。
「そんなに驚かなくても、結婚するんだ。セックスして子供をもうけるなんて普通だろ?」
その言葉に、当然だけれど納得なんてできるはずがない。
今まで恋愛ごとに馴染みのなかった私にとって、『セックス』なんて、未知との遭遇でしかないのだ。
よって過剰反応を示した私が慌てふためいて、
「セッ、セッーーピーピーどころか、ついこの前まで、キスさえしたことなかったのに、そんなの絶対無理ですッ!」
正面でしれしれっと腹の立つくらい余裕綽々の桜小路さんの襟ぐりを引っ掴んで抗議するも。
当の桜小路さんはいつもの如くフンと飽きもせず小バカにしたように軽く笑ってから、
「ピーピーとやかましいヤツだなぁ。そんなに心配しなくても、お前が少しでも慣れるように、キスだって何度もしているだろう? そのうち慣れる。二ヶ月後に晴れて夫婦になったら、夫である俺が懇切丁寧に手取り足取り教えてやるから、安心しろ」
なにやら得意満面で衝撃的な事実を混じえつつこれまた意味深なことをのたまった。
――いやいやいや、安心なんてできるわけないって! ……じゃなくて、二ヶ月後にって初耳なんですけど、一体どういうことですか!?
脳内で盛大な文句大会を繰り広げている私は、驚きすぎて大口をあんぐりと開けてアワアワしながら桜小路さんのイケメンフェイスを凝視したまま動けずにいる。
どうやら、開いた口が塞がらないとはこういうことをいうらしい。
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