第1話

─────事態が終息を迎え、私たちは公園の前に止まっていた真っ黒なクラウンアスリートに戻り、何分か待っていれば、どこかへ行っていた運転手のお兄さんが戻ってきた。




その手にはわたしが家に取りに戻ったまま、持って来ていなかった荷物が抱えられていて…。




「はい、これで全部?」



荷物を渡されながら優しく聞かれ…。




そういえばわたしは荷物も持たないまま出てきたんだった…。




それにしても、なんでこの人が荷物を?




「統牙に頼まれて、取ってきたんだ。」



わたしの考えてることを察してなのか、優しくそう言われ。




…そうなんだ。



それにしても、本当に望くんと似てるなあ…。



笑った後の優しげな目元や雰囲気が、望くんを感じさせる。



「あの…ありがとうございます…。」



関係無いことを考えながらも荷物を受け取りお礼を言うと「気にしないで」と言うように笑顔を返され、お兄さんは運転席へと戻り、車を発進させた。

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