衝撃

第5話

=数日後=


ある日の仕事の帰り、電車の座席に座り、うとうとしているとーーーー


私の頭に何か当たってくる感触がするのです。


確かめてみると、前に立っているサラリーマンの広げている新聞が、当たっていたのでした。


しかし、当のサラリーマンは気付いていない。


私が、注意を促そうとした瞬間、新聞のある記事が目に飛び込んできた。


その内容とはーーーー


「年々、深刻化する社会問題! 去年の自殺者三万五千人。七年連続で三万人超える! 一日に百人以上もの人が、自らの命を断っている事になる」


この記事を見た時ーーーー


いつの日か、電車の中で助けた女性の手首の無数の傷跡が頭をよぎった。


(あの子…… 大丈夫かな……)


実は、私の役者仲間で親友の一人も、夢と現実の硲で悩み鬱病になり、自殺をしているのです。


あの時の女性と親友とが、オーバーラップして凄く息苦しさを感じた。


私は暫くの間、放心状態に陥った。


フッと気付いたら、降りる駅を乗り過ごしてしまっていた。


私は、慌てて電車を降り、逆方向に乗り直した。


目をつむると、あの記事がまぶたの裏に焼き付いていた。


「…… はぁ……」


溜め息しか出ない。

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