第1章

出会い

第1話

ガタン ゴトン

ガタン ゴトン

ガタン ゴトン


「次は、北千住ーー 北千住ーー」


電車の車内アナウンスが流れる。


通勤ラッシュで賑わう車内。


朝からイビキを掻きながら大口を開けて寝ている者。


新聞を手帳サイズに折り畳んで読んでいる者。


周りをキョロキョロしてチカンを警戒しているOLなど…………


いろんな人間模様で彩られている。


「北千住ーー 北千住ーー」


車内アナウンスが流れる。


北千住に到着すると、降りて行く者と乗ってくる者が入り乱れる。


しかし、車内の人口密度はさほど変わらない。


ガタン ゴトン

ガタン ゴトン

ガタン ゴトン


心地よい雑音が、奏でられている車内。


その時ーーーー


『バタンッ!!!』


大きな音が鳴り響く。


随時、雑音が奏でられていた車内が、一瞬静かになる。


音の鳴った方を見てみるとーーーー


若い女性が地べたに座り込んでいた。


夏なのにGジャンを着ていて、ミニスカートの中から白いものをチラつかせている。


周りのサラリーマン達は、それをいやらしい目つきで、チラチラ見ているだけで誰も助けようとはしない。


ここは私が勇気を振り絞ってーーーー


「大丈夫ですか?」


と、声をかけるや否や抱きかかえた。


そして、シルバーシートの座席を譲って貰い女性を静かに座らせた。

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