第3話

だから当然断れるわけもなく、 私はその申し出に頷くしか無かった。

「なら決まりだね? 悪いが今日から本社に来てもらうよ、俺の秘書をしてもらう、もちろん、夜飲みもセットだけど、その分出すよ、それならいいだろう?」

なんと、政略結婚とセットだと言うのだから驚きである。

「私でよければ」

少し自信の無いようにそう言えば、彼が笑って私の頭を撫でた。

まるで恋人かのように扱われるのに戸惑いつつ、私は彼について行くしかなかったのだった。

それから、私は彼に連れられて本社へと行くことになったのだ。

そして、そこでは秘書として様々なことを教わることになったのだ。

「あの、専務はどこに?」

そう聞けば彼が苦笑いする。

「あれ聞いてないの? 今日は海外に視察に行っているよ」

そう言われて驚く。

そんなの初耳である。

でも、秘書としてついて行くのは私なのだから、とやかく言う権利もないのだろうと思うことにした。

それから、私は専務が海外から帰ってくるまでの間、彼の傍で仕事を教わる日々が続いたのだ。

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