第28話

信じられない……。


普通にマリア様を家へ送り届けてきただけだと思っていたのに。


そんなおかしな質問が出てくるなんて。


 

いったい今まで外で何をしてたんだろう?



知りたいようで知りたくない。



いっその事、護衛の騎士を見張りに付けたいと心の中で思う。



「どうしてだいっ?ちゃんと靴は脱いでるんだよ⁉」


「脱けばいいという問題じゃありません」


「ストッキングすら脱いでるのにかい?」


「いけません。お立場を考えてください」



泣きつくように腰に縋りつかれたが、今回に関してはキッパリと注意する。



まったく、この人は。


ド変態もここまで来ると心配になる。



いったい、どういう思考回路をしているのか一度頭の中を覗いてみたい。



「君もその意見か……。女性は難しい」


「女性からすれば旦那様の思考回路の方が難しいですよ」


「そんな、エマ……っ。僕としてはね、本当は馬のように蹴って欲しいところなんだよ!?それを踏まれるだけに留めているというのに、まだダメだと言うのかい…っ?」


「えぇ。怪我をなさっては大変です。どうかご自身の体を大切になさってください」



ガックシと絨毯に膝を突いた旦那様の肩に手を乗せ、優しい顔でされどピシャリと言い放つ。



旦那様ったらベッドの上ではドSなのに、ベッドから下りるとドМになるのは何故なの?


雇われただけの私には理解できない。


たとえ愛されていたとしても理解できないが。



「残念だ。あの得も知れぬ幸福感を君だけは理解してくれると思っていたのに」


「それは……。ご期待に添えず申し訳ありません」


「許さん。罰として今すぐベッドに行って僕の顔を太ももで挟みたまえ」


「……はい」



罰というよりは願望に違いない。


旦那様との常識の溝は深まるばかりだが、命令には逆らえずベッドに座り侯爵様の顔を太ももで挟む。


すると、侯爵様はネグリジェの裾を捲って満足気に微笑んだ。


僅かながら元気になったみたいで安心する。



しかし、恥ずかしい……。


オマケに何の躊躇もなく下着をスルリと脱がされて身体が固まる。



「すまなかったね。今日は」


「い、いえ。気になさらないでください」



普通の会話を続けられたが、反応に困る。


いったい、どうすれば。

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