第27話

「た、つさ…?」



「何、青白い顔してんだよ。らしくねえなぁ。」




そう言って、“オレ”を掴んでいる手を強く握る。



離さない…とでも主張するかのように。




オレは一度だけ、腕を捻ったのだが、そんな小さな抵抗は男である達沙には全くもって意味ないものだった。





それでも、オレは達沙よりも今は大事な用事があったのでここにいる。




だから、オレは達沙に言う。








「今から用事があるから、放して。」



彼の目を見ず、オレはただ前だけを見てそう言った。




達沙が今どんな顔をしているのかは、知らない。




見る余裕なんか、なかった。



それでも達沙は、オレを放してはくれない。



むしろ、オレを掴む手が強くなった気がする。

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