第19話

しかし、俺がそんな言うこと聞くわけない……とは思いつつバイクがないのに溜まり場に行っても暇だ。

部屋に引きこもって数日が経った。



毎日、俺の部屋の前にはご飯とチビがいたらしい。



『チビ、みんなのところ行けよ。』



「光お兄ちゃんも……」



『……。』



鬱陶しくて、扉を閉じて無視していた。

ずっと後ろにくっつき纏ってくるのはウザイ。

でも、少し可愛いと思えてきた。



多分、俺もあの人から見たらこんな感じだったのかなと思うと無視も出来なかった。



あの日から黒斗さんの姿は見ていない。



「光お兄ちゃん、これ……」



そんなある日、チビは俺に黄色の花を渡してきた。

あの人が初めて俺が施設に来た日に見に行ったそれを思い出した。



『金木犀……ありがとう。』



「えへへっ……!」



金木犀だけを俺に渡したチビは、走って行ってしまった。

笑った顔、初めて見たかもしれない。

なんだ……笑うと可愛いじゃん。



その日の夜、珍しく俺の部屋の扉がノックされた。



「光くん、あの子を見ていないかい?夕方から見つからないんだ……。」



『は?知らないけど。警察には?』



「連絡して探してくれてる。光くん仲良かったから何処か行きそうなところとか、分からないかな?」



『仲良くなんか……』



あ、金木犀……なんでアイツは金木犀の花を持ってたんだ?

施設には金木犀なんかない。

この辺で一番近くにあるとしたら、10分くらい行ったところの神社。

チビの足だともっとかかる。



アイツ、まさか一人で───

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