第16話

≪光side≫



紺ちゃんは昨日のお礼に、と俺の部屋に手作りのお菓子を持ってやって来てくれた。

律儀だよなぁ。

ガサツに見えてこういうところあるのがまたいいよね。



「光くんと父っていつから知り合いなの?」



『俺が中学の時。気になる?』



「まあ……。」



『ちょっと長くなるかも。』



「いいよ。」



紺ちゃんのことが好き。

だからあまり自分の暗いところは知られたくない。

でも、何故か紺ちゃんには自分の全てを見てほしくなる。

紺ちゃんの人柄がそうさせているのかな。



真っ直ぐにしか人を見られない紺ちゃん。



『俺の親がクソでさー、借金作って蒸発。親戚は誰も関わりたくないから、俺は施設に入れられた。』



中学に入学した俺は、施設で俺を弟のように世話してくれたお兄さんに連れられて、髑髏の倉庫に入り浸るようになった。

バイク好きの集団で、俺は免許がないからそのお兄さんの後ろによく乗せてもらっていた。



しかしある日、そのお兄さんは施設を出ていくことになった。



「俺を家族にしたいと言ってくれたんだ。俺はその人たちのところに行く。このバイクは、光が免許を取ったら乗っていいぞ。」



そう言って俺に自分のバイクを託して去っていった。



でも俺は、また一人になったのだと落ちぶれて免許もないのにバイク乗った。

怖かったはずの喧嘩の腕も上昇して認められた。



「光、お前は今日から幹部だ。」



俺の居場所はそこにしかなかった。



そんなある日、夜中にバイクでツーリングしていた帰り、スーツの明らかにカタギではない男に声をかけられた。



直感で、こいつはヤバいと思った。



「中学生が無免許で事故ったらどうするんだ?」



『……うるさい。』



「君が怪我をしたら悲しむ人がいるだろう。」



『っ……そんなのいない!』



何も知らないくせに……大人は綺麗事ばかりだ。



この人には俺は勝てない。

だが倒せなくても、隙を作って逃げることくらいは出来るだろう。



近寄ってきた男の腹を蹴り飛ばしたが、男の体には何のダメージも体が動くこともなかった。



「……はぁ」



隙を作ることすら出来ない。

馬鹿な子供はその事にすら気付かず、バイクで逃げることしか出来なかった。



バイクで逃げ、無我夢中でタイヤを転がす。

どのくらい走っていたのか。



見覚えのない場所。

多分隣町だろうか。



撒けたか、とホッとした次の瞬間、黒塗りの車が人気のない道路で止まる。



「おい。信号無視は危ないだろう。」



……なんで。



「降りろ。」



『っ!』

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