第261話

「はい。」



涙はもう出ない。



彼のために泣くなど、そんな残酷なことはできない。



……これが私なりに彼を思っている証拠だ。





「ありがとうございます。」



振った相手にそんなことを言うなんておかしな話だけれど、彼は私がお礼を言ったことで嬉しそうに笑った。



優しい人だ、本当に。







「でも、本当に元気そうでよかった。……あの噂で少し気にしているのかとか思ってたからな。」



「あの噂?」



もしかして、茶髪のロングの女性がナンパされてるって話?



でも砦がそんな噂は流れてねえって言っていたから、デマだったんじゃないのかしら?




「何だ、知らないのか?」

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