第230話
「御馳走様。」
唇を舐めるその仕草にさえ、さらに惚れてしまいそうになる自分が嫌だ。
……もう、そういうの反則。
私は照れたその顔を下に向けて、彼から目を逸らす。
とりあえず話題を変えることにしよう。
「それにしても、やっぱりあの噂は本当だったのね。」
「噂?」
顔を顰めた彼に気づかず、私は口を止めない。
「茶髪のロングの子がナンパされてるっていう噂の話。」
「―――…は?」
いきなりの彼の呆け声に私は驚いて、咄嗟に顔を上げてしまう。
……え?
先程と声が違ったし、その表情を見てもその噂に関することの意味が分かっていない様子だった。
どうしたの、だろう?
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