第110話

鋭いツッコミを入れられたにも関わらず、那留兄さんはそれをスルーする。



とりあえず、ここに来た目的は果たしてくれるようだ。





「協。お前は俺を怒らせた。」



「………那留。マジで考え直してくれ。」



「妹拉致っといて、はいそうですかってなるわけねえだろ。――…覚悟、できてんだろーな?」



彼が何をしようとしているのか、私には分からない。



四谷さんは嫌な予感しかしないらしく、顔を歪めているのがこの距離からでも分かる。



……一体、何を考えているのだ。





「覚悟は、できてない。」



「あんまナマ言ってっと、張り倒すぞ。」



「頼む。もう、本郷サンには手え出さねえから、俺の目の前に現れるのはやめてくれ。」

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