第44話

その時、俺の中でまだ『楔』という人は知らない存在だった。





「あのな、怒られるのはお前じゃなくて、俺なんだからな。」



「大丈夫ですよ。【Hell】にはよく出入りしてるから。」



「そういう問題じゃないだろ。」



公浩さんのこんな困った顔を見たのは、初めてだった。



大稀さんは高校生くらいに見えるけど、公浩さんは既に23歳。



……弟分みたいな感じで、可愛がってるんだろうか?



だが、こんな人公浩さんと一緒にいるところを見たことなんてない。




「ちーっす、公浩。」



「お前は目上の人への礼儀を知れ。」



「無理無理。俺、お前のこと目上とか思えねえもん。」



「……表出やがれ、蘭勝。」



「もう、表出てっし。」

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