第24話

レダ達が放り込まれたのは新婚カップルや熱い恋人達が愛を深め合う専用〜


どこもかしこも白と桃色とろけるピンク色のすっけすけの薄物でこれでもかとモリモリに飾り立てられたロマンティックすぎる大人気の客室だ


天井から吊り下げられる愛らしい飾り、カーテンから壁紙からクッション寝具に至るまで全てがトータルコーディネート仕様


家具類も、色っぽーい舞台装置を引き立てるべく絶妙な配置展開、ぷっくりした貝殻デザインと流線型の花模様が愛らしく優美に彫られた特注品だ


ベッドの枕元には肌も顕わな妖艶なアフロディーテと、悪戯っぽく恋の矢をつがえるクピド(キューピット)の大きな絵が恭しく飾られている


レダが呼吸をゼーゼーしながら隣を見ると、どうやら自分と同じ様に連れてこられたらしき、トホホな困り顔のジェイドがポツネンと立っていた



「では、『お幸せに』!


〜あぁレダ亭経営は、オーナー様夫婦が急遽今よりめでたく現場復帰するそうですからぁ、レダ様はなぁ〜〜んにも細々心配なさらなくっても宜しくてよ♡


ウフフふふ、ではご自分のお幸せを追求するのにファイトーーーですぅ♡♡」



ニッコーーーっ、キラッキラの笑みでヒラリ身を翻したのはレダ亭陰のボス、ミランダだった



ミランダの耳の周りと頬には、それはもぅ『くっきり』、誤魔化しようもなく真ん丸の赤い跡がバッチリついていた


宿の宝物の高級薄バリのコップを使用し、情報収集


「あーでもない、こーでもない」

「えっとーーー、こちら側かしら…?」


向きを様々にひっくり返しながらヤモリの如くベッタリドアに身体中で張り付き、全会話を盗み聞き今の対策をしていたのはこれでミランダで決定だ



ミランダは一度「ぶっふっふっ♡」

掌を口元に当て、一旦、薄気味悪い含み笑いをしてドアの後ろに消えた




ーーーーが

「あ、忘れてた忘れてた♪

嫌だわ私ともあろう者が


〜サァッ皆の者かかりなさいッッ!!」


「はーーーいっ♪♪♪♪♪」



目を見開いたレダが「え?」っと改めて聞き返す間もなく、周囲円形に群がった美少女メイドや給仕達が、人海戦術だとばかりにギラギラ一斉に飛びかかる




レダは、元々お食事処付き宿屋マダムとして相応しいそれなりの立派な正装〜


あえて大人っぽく見せていた衣装、色気のないコルセット類その他をまとっている


美少女らは我も我もと取り付き、どどーーーっとピラニアが生肉をむしり取るが如く一瞬の早技、ワヤワヤワヤと鎧のような装備をあっと言う間に取り去ったのだ


「ではごゆっくりーーーー」


「「「「「ごゆっくりー♡」」」」」

「「「「「「マダム頑張ってー♡」」」」」」


綺麗に全員でハモる声の後に残されたのは儚い下着同然、白い滑らかな薄物だけをまとうレダの姿だった



膝丈ほどまであるブラウスは、伸びやかな柔らかい身体の線を隠し通すことが出来ずサラサラと仄かな光の下に揺れている



胸のまろみやヒップの可愛らしさ、瑞々しい美しさの全てを余さずジェイドの目に映していた



彼は思わず、ゴクッと息をのむ

これではまるで生きた宝石では無いか……!


死んだ凶暴な妹の何倍も、彼女レダは賢く綺麗で優しいのにこの可憐さは天使なのか?!



『そんな彼女に恥をかかせてはいけない……!」


がーーー男としてどうしても目が離せない


どんなに誘惑を払いのけても直ぐに視線がまたフイッと戻りそうになってしまうのだ


ジェイドは煩悩の真っ只中で目がウロウロと泳ぐしかない



「もぅ、本当に困った人達です!」


プリプリ怒りまくるレダは、ちっとも切なる男心を理解してはいなかった


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