第21話
ではそうと決まったら、このリオン騎士団所属、レオ家の青年ジェイドのハートを素速く取り込む必要がある
自分の方をしっかり意識させる、出来れば虜になって貰えると今後の展開的に有り難い
とはいえ別に「結婚」、レダ的には大げさな、周囲皆の望むムコだのコイビトだのになれという類の色事的、そこまで強欲な野望では無い
単純に、ただ「僕はファンですーー♡」キャハ♪程度で充分
〜まぁこの程度ならいけるかも知れないと思った
けれどジェイドのような生家が伯爵家、生まれついて家柄もヨシ、見目麗しい何処にいても挙動が目立つ美青年騎士は、年中恋のアプローチなど普通に浴びるように受け取っているのでは?
言っては何だが、目の前に美味しそうに差し出される素肌の女体なんぞ、飽き飽きする存在
下品な考察だが「ゲップが出そう」、もの珍しくも何ともないはずだ
むしろ直ぐに枕を重ね、簡単にしとねを共にする女性は下手をすれば唾棄、汚らわしく思う失笑と軽蔑の対象であるかも知れない
街で噂で知った伝聞の、自身の妹以上の見事な容姿の光輝く美女ならともかく
そこでレダは『!?』
ハッとひとつの案を思いつく
うふふふふ
『案外これはいけるかも!』
父親の為とは言え、悪女と評判の妹とソックリなレディをここまで真摯に探しあげた以上、妹テレサに先ず先ずの、それなりの愛情はある筈だ
『強烈な憎しみかも知れないけどーーーね』
だったら『賭けてみよう』
彼とて絶対に断れないスキンシップ方法がある
レダは家族同然に長き時、恩人の夫婦としっとり暮らして来た
したがって必要不可欠の技術
〜とある肉体的癒しの能力が自然に上達し、誰よりも上手くなったのだ
「人生に無駄ってないのねぇ」レダはボソッと心の中で呟く
レダはニコッと必殺の、キラキラ営業スマイルを放射する
「そのお話、受けてもよろしくってよ?」
「え?!」
「妹様の身代わり、卑小な私で宜しかったら是非お力になりましょう」
「ーーーー!!」
「よろしく」
レダの返答を聞いたその途端
青年騎士は、パチパチッと幾度も幾度も瞬きをした
長い睫毛が印象的な切れ長の目尻をウルウルと下げ、ぽろっと一粒の涙を溢す
透き通るしずくをテーブルに落とした瞬間、ぱぁーーっと光輝く太陽の如しの笑みを浮かべた
破顔一笑
圧倒的なこんな微笑を真っ直ぐに向けられたらどんな女性だって彼を好きになるしかない
例えば、そんな特別の笑顔だった
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