第539話

「なぜ、ここに座るの?他にも空いてる席があるでしょ?」



ワザとだと分かるけど、早く席を移動してほしい。


風間は注文パネルを使って注文をする。


いや、なんでここで注文するのよ。


頭おかしいんじゃない?


貴方の腕に絡みついている女から痛いくらいの視線を感じる。


私の所為じゃないのに、何で私に対して怒るの?



「ここに何か用事?大学はこっちじゃないでしょ?」



「仕事で来た」



「仕事?なら、その女は大学の人じゃないの?」



「いや、大学の女だ」



「………………」



仕事で大学の女を使ったの?


どういうこと?


何だか、この女が可哀想だな。


利用されたことに気づいてないなんて。



「で?何で1人なんだ?」



「そんなに気になるの?ただ、長引いただけ。何もおかしくないでしょう?」



「1人でいるのが珍しいんだ。この時間に」



私は頭を傾げる。


なぜ珍しい?


もう終わったのだから拉致るような出来事はないだろう。


だから、お父さんは海外に行けるのだ。


安全じゃなかったら海外なんて行っている場合ではない。



「もう終わったから1人で行ける」



「へ〜ぇ、まぁ、そうか」



納得した?



「風間君。この人誰?」



「高校の同級生」



「ふ〜ん………………フッ」



この女、私を下から上へと見たあと鼻で笑った。


なんで、勝ち誇った顔をしてるわけ?


何だか腹立つ。



「相変わらず趣味悪いわね。仕事だから何だか知らないけど選ぶべきじゃない?こういう女しか寄って来ないの?」



「空いている女がコイツだっただけだ」



だからってもう少し考えたらどうなの?



「仕事って何?」



「パーティー出席」



それは、この女が出席して良かったのか?


そのパーティーはまともなパーティーだったのだろうか。


そんなこと私が考えたところでしょうがないけど。



「風間君、ねぇ?次はどこに行くの?私、テーマパークに行きたいなぁ」



「ん〜、今度な」



「え〜、今度っていつぅ?いつもそんなこと言うんだもん。私、ずっと待ってたんだよ。今日のこと誘ってくれて凄く嬉しかったな」



さて、私は食べ終えたが………………


この2人が邪魔だな。


バスまで時間がまだあるし。


ここで時間を潰すつもりだったのにな。



「邪魔だな」



「怖い顔するなよ。ちょい出てるぞ」



「ワザと。嫌がらせ?」



「どうだろうな」



嫌がらせだな。


今日のパーティーは真理亜を誘いたかったのだろう………………


いや、ちょっと待て。



「ねぇ?もしかして、今日のパーティー誘ったの?あの子を」



「お前は本当に鋭いな」



当たったらしい。


真理亜は特大海鮮丼を食べていたら、そっちに負けたらしい。


オシャレなパーティーの料理より、大盛りで新鮮な海鮮丼が良かったのだろう。


風間が参加するパーティーは食べ放題みたいな食べ方はできないだろうし。



「同じ食でも弱かったみたいね。特大海鮮丼に負けたみたい」



「海鮮丼?」



「知らなかったの?」



「俺はそれに負けたのかよ。船上パーティーだったのに」



………………。


それは豪華なものだったでしょうね。


船上パーティー………………


風間と女の服装は私服だ。


着替えたのかもしれない。


その服装で参加するわけないだろうし。



「もう!さっきから何なの!全然分からないんだけど。あなた、私のこと無視してるでしょ?」



「別にしてない」



「私が分からないことばかり話してるから同じことでしょ!」



面倒だな。


こういう女と接するの久しぶりのような気もするけど。



「船上パーティーにあの子を誘わないで。断るはずだから」



「クソ真面目なパーティーだったんだがなぁ。肩が凝りそうだった」



「表側?」



「そうだ。断るのが出来なかった」



真面目なパーティーにこの女と一緒に出席か………………


笑える。



「そのままゴールインしてしまえ」



「酷いな」



「私より貴方が酷いと思う」



その気がないのに利用して捨てるのだから。



「柚月が心底羨ましいな。切ることができない関係は堪らないだろうなぁ。俺にはそれが出来ない」



「それはそうでしょ。貴方は全く別物なんだから」



一緒にするな。


真理亜はその関係にはならない。


絶対に。


私と真理亜では大きく異なる。


真理亜は対を必要としない。


なくても生活できる。


だからいらない。


もし、風間がそう考えるなら………………

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