第466話
冬休みに入ってしまえばやることは課題を早く片付けることだ。
本やネットで調べ試作品を作り、レポートを書き上げる。
早めに片付ければ残りの休みを遊戯になる。
大塚さんも必死で課題をやっているようで、海が構ってくれないと嘆いていた。
ブチッとすぐ通話を切ったけど。
こっちも必死で終わらそうとしているんだよ。
なのに、邪魔になることをしないでほしい。
寒い日が続き暖かい布団でいつまでも寝ていたいのに、早起きして課題をやっているというのに。
窓を見れば大粒の雪が降り注いでいた。
これはまた積もるだろうなぁ。
雪かき大変そうだ。
「凛、仕事に行ってくるよ。誰か来てもドアは開けちゃダメだよ。お昼ご飯は冷蔵庫にスープがあるからそれを温めて食べてね。おやつの時間はドーナツがあるからそれを食べて」
「うん。分かった。いってらっしゃい」
お父さんはより先に仕事に行ったのはお母さんだ。
何やらこの雪で交通機関がダメだから早めに出かけた。
お父さんは近くでお仕事だからいつもに時間に出る。
「いってきます」
お父さんが出かけるとこの家には私とケイだけだ。
ケイは寒いからと私のベッドから動く気配がない。
あったかいよね。
そうやって丸くなって寝ているケイは賢いよ。
リビングは暖房つけてないから寒いだろうし。
暖かい部屋は私の部屋だけだ。
お昼ご飯もここで食べようかなぁ。
さて、集中しなきゃ。
パソコンを操作しようと両手をあげたとき、私のスマホが鳴った。
また海か?
途中で切ったからってまた電話を寄越して来たのか?
イラッとしながら画面を見ると亜紀からだった。
「はい」
『俺の電話はワンコールで出ろ』
「無理」
何を言っているんだか。
ワンコールで出られるわけないでしょ。
『お前、何やってる?』
「課題をやってる」
『そうか。なら暇だな』
「耳おかしくなった?暇って言ってないよね?課題をやってるって言ったよね?どこから暇だってなるの?」
『家にいるんだろ?なら大丈夫だ。移動してるわけじゃないし』
うん、何を言っているんだ?
会話にならない。
暇っていうのは何もすることがないってことだよね?
今の私は課題を片付けるのに忙しい。
「もう一度言うけど。暇ではない。そっちは暇なの?」
『暇じゃない!!』
………………。
突っ込むのやめようかな。
「暇じゃないのに電話をしてくれたってわけ?それはありがとう」
『だろ?感謝してくれ。さっきも体力作りって言われて、アホみたいな場所に連れて行かれたし。アイツの体力作りはおかしい』
「普通の場所に行っても意味ないんじゃない?それで成長できたらみんな成長してるから」
亜紀の場合は幼少の頃から実践形式だったから、そっちのほうがやりやすいって考えたのだろう。
頭より体で覚えるタイプだ。
『そっちって冬休みだよな?』
「そうだけど」
『どっか行くんか?』
「そんな予定はない。短い休みだし、クリスマスは家族で過ごすから」
『冬休み、そっちに帰るから』
「えっ?」
『何も入れるなよ。クリスマスは無理だが、その後は日本にいる。だから、絶対に予定は入れるな。誰かに誘われても断れ。白井もダメだ』
急に何を言い出すのかと思えば………………
私の休みを全部予約済みにするつもり?
「こっちに帰って来られるの?」
『お許しが出た。一発やってこいって』
「言い方」
『間違っちゃいない。やっぱ、グイグイ行かなきゃダメだろ。奴はそうだろうし。柚月の野郎、大阪まで行きやがって』
あぁ、大阪の件はすでに報告済みなのね。
私に見張りが付いているってことだし。
そりゃそうなるか。
『駄々捏ねたら行って来いと言われた』
駄々捏ねたのか。
それは、哀れみの目で見ていただろうな。
ジュンさんはそういうの隠さないと思うし。
「それは恥ずかしいわね」
『使えるもんは全部使う。恥じらいなんて捨てたほうがいいだろ。玄関ホールのど真ん中で盛大に駄々捏ねてやったんだ』
亜紀はそっちで何を学んでいるんだ?
駄々っ子スキルか?
『なんだ?嬉しくないのか?』
「………………嬉しい。一人で来るの?」
『そうだな。大学もあるし短期滞在だけど、凛に少しだけでも会いたい』
うん、私も声より直接会って話したい。
「なら、少しでも長く居られるように課題を頑張って終わらしておく」
『おう、そうして』
なんだか辛い課題もすぐ終わりそうだ。
机の上に乗った大量の資料を見ても嫌な気分にならない。
『待ってろよ』
「待ってる。急な仕事で来られなくなったは無しだからね」
私の冬休みは決まった。
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