第113話
ざわざわと騒がしい人垣を掻き分けて、正門を後にした。
ついてこうよとした数人には、本気の殺気を放ってあげたので、青ざめて俺達を見送ってくれた。
本当、鬱陶しい連中。
群がるのも大概にして貰いたい。
大学に入ってからは表立った行動はして居なかったから、俺が銀狼幹部だったと言う事は知られていないけど。
4月からはそう言う訳にもいかないな。
俺達の引退と一緒に引退したメンバーでうちの大学に通ってる奴らも数人いるから、さりげなく琥珀ちゃんのサポートをして貰うかな。
野獣の檻に無条件で兎を放り込むなんて出来ない。
ま、琥珀ちゃんは強いから、そんなに警戒しなくてもいいかも知れないけどね?
クスクス・・・・不意に六織が投げ飛ばされた時の事が頭を過ぎった。
あの時はホントに驚いたよ。
「どうかした?」
琥珀ちゃんは急に笑い出した俺を不思議そうに見上げる。
「ううん・・・何でもないよ。少し思い出し笑い。」
今、彼女に六織の話題は振れないからね。
「そう?よっぽど楽しい事なんだね。」
疑わないのは君の良い所だね?
「うん、最高に楽しかった事だよ。」
あの頃がやっぱり懐かしいから。
銀狼として存在していた頃が一番輝いていた気がするんだ。
「それより、今日は来てくれてありがとうね?こんな事頼めるのは琥珀ちゃんしか居なくて。」
そう、今日は頼んで来て貰った。
「いいよ。私で役に立つなら、いくらでも手伝うよ。」
琥珀ちゃんの無邪気な笑顔に癒される。
「そう言ってもらえると助かる。妹に干渉するなんてシスコン過ぎで笑えるだろ?」
ホントに自分でも思うんだ。
眉を下げた俺に琥珀ちゃんの優しい言葉が届く。
「妹さんを心配するのは仕方ないよ。今の総司君見てると、ひー君と重なるし。」
「アハハ・・・翡翠さんね?」
初めて対面した時の翡翠さんの、今にも睨み殺されそうな視線を思い出した。
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