羊たちの沈黙
いやーすごすぎました。
サスペンスとしてこの上ない演出にずっと手汗を握っていました。
とにかくレクター博士の怪演がえぐい。
温厚な紳士に見えるけど、ちゃんとした猟奇的な殺人犯というギャップ。今でこそ快楽殺人犯のキャラとして固まっていますが、このキャラの演出はまさに怪演です。心に語りかけてくる感じが味方と思わせてしまうカリスマっぷり。「ジョジョの奇妙な冒険」のDIOもこのような魅惑的な人物です。しかし中身は危ないので、どこまで信じていいのか……主人公のクラリス以上に、みているこちらがドキドキしました。
そしてレクター博士の脱獄は怖かったですね。
天井裏にいると思わせといて……人の皮で変装するという、どんでん返しがえぐいです。というかレクター博士も皮を剥げるんですね。バッファロー・ビルと思わせといて、の二重演出が光りました。思わず「うわー!?」と叫んでしまいました。強すぎる。
最後のエンディングはなんともダークでした。
事件が解決し、クラリスは表彰されました。彼女の勇敢さもそうですが、レクター博士の助言のおかげです。そのレクター博士は逃亡し、次なる獲物を見つけている。事件解決に素直に喜べないのです。主人公にとってはハッピーな終わりですが、でも周りはハッピーではありません。「今日もどこかで人が殺されている」というこの世界の悲劇は終わらないメッセージを感じました。レクター博士……いい人に見えるんですけどね(洗脳済み)
あと、クロフォード先生へのあの意味深なカメラワークはなんだったんでしょうか。てっきりクロフォード先生がレクター博士と裏でつながっているように思えてしまいました。だって南米に行ったはずのチルトン博士を先回りするというのはあらかじめ知っていなければできっこないですからね。どんなにレクター博士が賢明だろうと、行く場所までわかるはずがない。何かしらの裏情報が回っているのではないか……というのは深読みです。
しかしまぁすごいです。
題名「羊たちの沈黙」もすごいですね。クラリスの幼少期のトラウマを殺人事件を止めることに共通させたのはすばらしい。「子羊の悲鳴は止まったかい」という呼びかけは、タイトルを彷彿とさせます。羊たちは沈黙した……でも、さらなる羊の悲鳴が始まる……そんな次を感じさせる不気味さでした。
ということで、羊たちの沈黙でした。
とにかくサスペンスがエグかった。めちゃくちゃ怖かったけど、めちゃくちゃ引き込まれました。すげぇよマジで。こんなに観終わって疲れた映画は久しぶりです。名作でした。
触れた物語の感想をかくだけのエッセイ ようひ @youhi0924
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