第10話

「なあなあ、見てみぃ」



翔先輩のにやけた笑み。



こちらに向けてきたスマホの液晶にはバッチリメイクした夜の蝶が投げキッスをしている写真。



「ナミちゃん。可愛くねぇ?ピッチピチの18歳」




そして、エロ親父,



「…そうっすね」



「だろ!昨日、若頭が新しい店に顔出すのついてったんだよ。カワイイ子ばっかで1人には決めれねぇぜ」



「………」



ほんと、



本当に、



うらやましいわ。



「…翔先輩、悩みとかないしょ」



「は?悩みぃ?」



「ねぇよ、そんなもん。なに、マサはあんの?」



逆に聞き返されて、別に…と小さく返す。




と、



「あー……」



呆れたような顔をして、翔先輩は頭をかいた。



「アレか、マサ。お前…アレか。なんだっけ?…コイワズライ?」



結構デカイ声に近くの組員がなんだとばかりにこっちをチラ見した。



やめてくれ。



チッと舌打ちをする。



「翔先輩…」



「マサ……、オレにはお前の気持ちがわかる。……いや、ウソだ。やっぱ、わかんねぇ」



なに言いたいんだ、この人は。



翔先輩がはぁーっと溜息をついた。

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