第27話

それは…



緊張してたら良かったって思っていた




…て事?



ユウト君を見ると、私の反応を待っているかのように見えた。少し上がった口端が楽しんでいるようにも見える。

それを見てしまったら、なんだか悔しくなった。



「…なんで、笑ってるの?」



「…いや、笑っては…」



「…ふーん」



「…ただ、ちょっと嬉しい…のかも」



フイっと逸らされたユウトの耳は赤い。

そんな姿を見ると、なんだかこっちも照れてくる。

筋張って男らしい体つきの人が照れている姿はかなり心臓に悪い。




素直を通り越して、人たらしだ。

この人。



こんな姿をいつも見せているなら、周りの女の子を沢山夢中にさせているだろう。

だってこの腕に抱かれたらどんなんだろうって想像してしまう。



それを想像すると、嫌な気持ちが心に焦げ付く。

その感情の名前は知っていても、まだ意識してそれに向き合いたくはなかった。

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