第26話

窓の外は土砂降りの雨。

なのに部屋は不思議と静かだった。



「変な感じ…」

思わず漏れた一言に。



「ん?」

ユウト君が首を傾げる。



「朝に会ってるからだと思うけど、ほら、私夜勤明けで明日も休みだから、明けの日は疲れてても連休前の様な気持ちなの」



「連休、最高じゃん」



「そう。それでユウト君と会ってるでしょ?なんだか楽しくて…」



これが今の素直な気持ち。

緊張も疲れも全部含めて楽しい。



笑った私を見つめるユウト君の眉が少し困ったかのように下がった。



「楽しいなら、…良かった。…緊張とかされるかもって思ってたから」



「緊張…はしてる」



男の部屋なんて数えれるくらいしか入った事ない。

だからそれを隠すのは不器用な私には無理だ。



その言葉を聞いたユウト君の視線が、私をグッと捉えた。その瞳はちょっと怖いくらい読み取れない感情がこもっているような気がして、私の体を益々緊張させた。



低く、ユウト君の声が呟く。



「良かった。部屋に招待してて緊張もしてもらえなかったらどうしようかと思った」



コーヒーの匂いと、ユウト君の部屋匂いを否応なく意識する。



「…え、っと」

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