第10話

翌朝、和気から連絡があった。

 自分も今日は学校を休む。

 メールには短く、それだけが書かれていた。

 和人と和気は学校を休む事がたびたびあって、そういう日には、俺の携帯にメールが届く。

 俺は携帯がわずらわしく面倒くさいから、俺の性格を知ってる和人も和気も、連絡しなければいけない事以外でメールを送っては来ない。

 ただ、そんな時のメールは二人とも、ちゃんと説明をしてくれていた。

 宿題が難しくて手伝って欲しいから、休日どこかで会えないか、とか。

 久々に学校以外で三人集まって、どこか遊びにいこう、とか。

「風邪を引いたから」学校を休む、とか。

 和気からのメールには、なぜ学校を休むのかが書かれていない。

 大丈夫か?

 こっちも短くメールを返したが、家を出る直前に返事がきた。

「なんとかなるって信じてる」

 なら大丈夫なんだな、と思って、携帯を置いて学校に向かった。

 今日も二人とも居ないんだな、と思うと、なんだか急に学校がつまらないものに感じる。

 それだけ、俺にとって二人は大事なんだな、とガラにもなく思った。

 ちょっと、いやかなり恥ずかしいな、俺。

 学校に着いて自分の席まで向かい、いつも通り、名前も覚えていないクラスメイトに軽く挨拶した。

 今日学校で、あった事はそれくらいで、いつも以上に退屈な一日だった。

 家に帰って、わざわざ出迎えてきた母さんの顔も見ずに部屋に入ると、携帯にはメールの通知が届いていて。

 明日はがんばって行くよ、と和気からの短い文があった。

 俺は、その晩は安心して眠りについた。

 その安心が、いけなかったのかもしれない。

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