【Ⅰ】
険悪
第1話
「とにかく!もういいって言ったんだから。2人で会うときはちゃんと私に言ってよね」
そう言いながら思わず皮肉げに笑ってしまう自分がいる
「雫!」
冬夜の声にピクッと跳ねる体
「……まさか…本当に葉月ちゃんが雫に頼むとは思わなかったんだ―――だけど、なんでいいよとか言うんだよ」
苦しげに切なげに呟くけど
「そんなこと言ったって…じゃあ私がイヤだとか言えばいいわけ?」
「…そうだよ。お前がイヤだって言えば葉月ちゃんだって諦めただろ?」
「―――そんなこと…」
暑さで汗が額にジットリと張りつくようでなんだか苛つく
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