第3話

いつもそうだった。



順風満帆にお付き合いをしていて、いつもこのパターンで突然の別れを切り出された。


思い出深いので行くとこいつだ、、、。




「///くぅ~!名器だ!間違いなくお前、国宝級の名器だっ!!」




これは、処女をあげた人に言われたムードもへったくれもない言葉である。

だが別れる時、その言葉もこう変換された。






「俺には、国宝級は荷が重すぎた。俺は、100均でいい」





最後の最後まで空気ムードがなかった人だったのを今でも覚えている。




『ハァ~、、、』




今度の溜息は、それを思い出しての脱力系だ。


やりかけていた遺品整理をまたのろのろと始める。


ふと、箪笥の中を整理していたら、"華へ"と書かれた封筒があった。



『ん?何だろ・・・』



中を開けて見たら手紙と小さい巾着袋。

巾着袋の中を開けると、青白い石の嵌ったシルバーの指輪が入ってた。

男性がつける指輪のようで、指サイズもだいぶ大きい。



『じいちゃんの形見かな。綺麗~』



そんな事を呟きながら指輪を掲げてたら、内側に何かが刻まれてる事に気が付く。英語だと思ってたら違った。



『何処の文字だろ。後でググってみるか・・・』



そう言って指輪輪をつける。

握るようにしていないと指輪はすぽっと落ちた。


遺品整理もやりかけないため外そうとした所で、何処からか波音のようなものが聞こえ出した。



つけた覚えはなかったが、慌てて後ろのテレビを見る。

電源のついてない画面は黒いまま。耳を澄ますも、確かに耳はその波音のようなものを拾っていた。



『疲れたら耳鳴りがするって誰かが言ってたな、、、。やっぱ、疲れてんだな』



そう思った瞬間、はっきりとそれが波音だと認識する事となった。

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